呼吸器におけるLevofloxacinの血清, 喀痰および肺組織中濃度の検討: Breakpointからみた有効性の評価
今回我々はlevofloxacin (LVFX) 投与時の, 喀痰, 肺組織, 血清内濃度を高速液体クロマトグラフィー法により測定し, 呼吸器における組織移行率を検討した。対象症例は肺切除術または気管支鏡検査を受けた患者23名であった。LVFX200mgを経口投与し, 喀痰を2時間後, 肺組織を3および5時間後, 血清を2, 3および5時間後にそれぞれ採取した。肺組織内濃度の3時間後の平均値は3.91±2.33μg/g, 喀痰および血清内濃度の2時間後の平均値は各々0.71土0.63および2.08±1.01μg/mlであった。肺組織内濃度と血中濃度の間には強い相関が認められたが (p<0...
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Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 52; no. 11; pp. 661 - 666 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
1999
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ISSN | 0368-2781 2186-5477 |
DOI | 10.11553/antibiotics1968b.52.661 |
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Summary: | 今回我々はlevofloxacin (LVFX) 投与時の, 喀痰, 肺組織, 血清内濃度を高速液体クロマトグラフィー法により測定し, 呼吸器における組織移行率を検討した。対象症例は肺切除術または気管支鏡検査を受けた患者23名であった。LVFX200mgを経口投与し, 喀痰を2時間後, 肺組織を3および5時間後, 血清を2, 3および5時間後にそれぞれ採取した。肺組織内濃度の3時間後の平均値は3.91±2.33μg/g, 喀痰および血清内濃度の2時間後の平均値は各々0.71土0.63および2.08±1.01μg/mlであった。肺組織内濃度と血中濃度の間には強い相関が認められたが (p<0.0001), 喀痰中濃度と血中濃度の間に有意な相関は認められなかった。肺組織移行率は217.2%, 喀痰移行率は4.05%であった。今回の結果をもとに臨床的Breakpoint (BP) を計算すると肺炎に対しては4μg/ml, 慢性気道感染症に対しては1μg/mlであった。LVFXの肺組織への移行性は良好で, 代表的な呼吸器感染症の起炎菌のMIC90を大きく上回る濃度が得られた。また, BPも4μg/mlと良好であり, LVFXは肺炎など気道感染症に対して有効な抗菌剤であると考えられた。 |
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ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.52.661 |