加速器質量分析法前処理工程におけるバイオエタノールガソリン組成変化の可能性

ASTM D6866 method B法にしたがい,E3ガソリン中のバイオエタノール濃度の定量を試みた。加速器質量分析(AMS)の前処理として,E3ガソリンからグラファイト試料を調製した。同一のグラファイト試料から小分けした3試料の定量結果は、AMSの測定誤差内に収まった。しかし,同一のE3ガソリンを8試料に小分けし,調製したグラファイト試料を測定したところ,十分な精度が得られなかった。ガソリンには多種の炭化水素化合物が含まれており,それらの沸点は異なっている。E3ガソリンを空気中に放置すると,そのバイオエタノール濃度は蒸発と共に低下することが確認できた。AMS測定法の試料調製では極めて微量の...

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Published inRADIOISOTOPES Vol. 59; no. 12; pp. 727 - 731
Main Authors 斎藤, 正明, 柚木, 俊二, 鈴木, 隆司
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本アイソトープ協会 2010
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Summary:ASTM D6866 method B法にしたがい,E3ガソリン中のバイオエタノール濃度の定量を試みた。加速器質量分析(AMS)の前処理として,E3ガソリンからグラファイト試料を調製した。同一のグラファイト試料から小分けした3試料の定量結果は、AMSの測定誤差内に収まった。しかし,同一のE3ガソリンを8試料に小分けし,調製したグラファイト試料を測定したところ,十分な精度が得られなかった。ガソリンには多種の炭化水素化合物が含まれており,それらの沸点は異なっている。E3ガソリンを空気中に放置すると,そのバイオエタノール濃度は蒸発と共に低下することが確認できた。AMS測定法の試料調製では極めて微量のE3ガソリンを取り扱い,揮発損失は無視できない。E3ガソリンの蒸発は試料調製時に濃度変化を引き起こしたと思われる。
ISSN:0033-8303
1884-4111
DOI:10.3769/radioisotopes.59.727