脳卒中後の精神症候 第2報 睡眠障害

脳卒中後の睡眠障害を多施設にて横断的に調査検討した. 対象は脳卒中患者598例(脳血栓症265例, 脳塞栓症44例, 不明の脳梗塞108例, 脳出血179例, 梗塞と出血の合併2例)で, これに高血圧症患者33例と他疾患入院患者300例を対照とした. 方法は独自の睡眠評価表を使用し, アンケート方式にて行った. 脳卒中後の不眠は20~50%の患者にみられ, 女性に多く, 高齢になるほど強く, 発症後3ヵ月以内のものに多くみられ, 以後期間を経るにつれて減少する傾向があった. 梗塞の罹患血管や出血の部位による差はなかったが, 両側大脳半球障害例に入眠障害が多かった. ADL障害度との関係はADL...

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Published in医療 Vol. 45; no. 5; pp. 444 - 450
Main Authors 井上, 圭太郎, 長江, 雄二, 伊藤, 栄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1991
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.45.444

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Summary:脳卒中後の睡眠障害を多施設にて横断的に調査検討した. 対象は脳卒中患者598例(脳血栓症265例, 脳塞栓症44例, 不明の脳梗塞108例, 脳出血179例, 梗塞と出血の合併2例)で, これに高血圧症患者33例と他疾患入院患者300例を対照とした. 方法は独自の睡眠評価表を使用し, アンケート方式にて行った. 脳卒中後の不眠は20~50%の患者にみられ, 女性に多く, 高齢になるほど強く, 発症後3ヵ月以内のものに多くみられ, 以後期間を経るにつれて減少する傾向があった. 梗塞の罹患血管や出血の部位による差はなかったが, 両側大脳半球障害例に入眠障害が多かった. ADL障害度との関係はADLの悪いものほど不眠が強くなる傾向があった. 他疾患との比較では, 脳卒中後の不眠は, 高血圧症よりも入眠障害と中途覚醒が多かったが, 入院患者での比較では, 脳卒中後の不眠は結核を除く慢性呼吸器疾患, 心・血管疾患など他の重症疾患患者よりもむしろ軽かった.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.45.444