歯周病に起因した膿胸,前縦隔膿瘍の1手術例
症例は59歳男性.胸痛,咳を認め当院受診し,炎症反応の高度上昇と胸部CTにて左前縦隔,左胸腔下部背側に膿瘍貯留を認めた.抗生剤の投与を開始したが炎症反応は軽快せず,胸腔ドレーン留置が困難な部位に膿瘍腔が存在していたため,入院第7病日に胸腔鏡下ドレナージ術を施行した.上下葉ともに胸壁・縦隔との高度癒着を認め,癒着剥離をすすめると多量の白色膿の排出を認めた.術後は速やかな炎症反応の改善を認め術後10日目に退院となった.採取した膿から多数のStreptococcus constellatus(口腔内常在菌)が検出され,口腔外科にて慢性歯周炎と診断されたことより,歯周病が原因の膿胸,前縦隔膿瘍と考えら...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 1; pp. 64 - 68 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
15.01.2013
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.27.64 |
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Summary: | 症例は59歳男性.胸痛,咳を認め当院受診し,炎症反応の高度上昇と胸部CTにて左前縦隔,左胸腔下部背側に膿瘍貯留を認めた.抗生剤の投与を開始したが炎症反応は軽快せず,胸腔ドレーン留置が困難な部位に膿瘍腔が存在していたため,入院第7病日に胸腔鏡下ドレナージ術を施行した.上下葉ともに胸壁・縦隔との高度癒着を認め,癒着剥離をすすめると多量の白色膿の排出を認めた.術後は速やかな炎症反応の改善を認め術後10日目に退院となった.採取した膿から多数のStreptococcus constellatus(口腔内常在菌)が検出され,口腔外科にて慢性歯周炎と診断されたことより,歯周病が原因の膿胸,前縦隔膿瘍と考えられた.術直後のCD4陽性リンパ球数・補体価は正常であり,糖尿病を認めなかった.このように基礎疾患や免疫不全を伴わなくても膿胸,前縦隔膿瘍は発症し,その原因として歯周病も念頭におく必要があると思われた. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.27.64 |