胃切後の吻合部通過障害 非手術的治療法で治癒させえた3症例

胃切後3週間以上にわたる顕著な吻合部通過障害に対する非手術的治療の経験. 1例目は肝硬変合併胃癌で, 胃切(BI)後の吻合部通過障害に対し, 術後43日目に内視鏡下にガイドワイヤーを利用して胃ゾンデを十二指腸に留置したところ, 一気に改善した. 2例目は胃・十二指腸潰瘍で胃切(BII)のあと輸出脚障害を招いたが, 術後24日目に内視鏡下に輸入脚に胃ゾンデを留置することで, 急速に改善に向かつた. 3例目は総胆管癌に対して膵頭十二指腸切除(Child法)のあと輸入脚逆流症となつたが, 術後34日目からプロスタルモンの点滴を5日間続けたところ, 急速に改善した. 結論:(1)術後1ヵ月後でも機能的...

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Published in医療 Vol. 42; no. 3; pp. 260 - 263
Main Authors 船木, 治雄, 広瀬, 脩二, 大田, 早苗, 磯本, 徹, 保坂, 茂, 竿代, 丈夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1988
国立医療学会
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Summary:胃切後3週間以上にわたる顕著な吻合部通過障害に対する非手術的治療の経験. 1例目は肝硬変合併胃癌で, 胃切(BI)後の吻合部通過障害に対し, 術後43日目に内視鏡下にガイドワイヤーを利用して胃ゾンデを十二指腸に留置したところ, 一気に改善した. 2例目は胃・十二指腸潰瘍で胃切(BII)のあと輸出脚障害を招いたが, 術後24日目に内視鏡下に輸入脚に胃ゾンデを留置することで, 急速に改善に向かつた. 3例目は総胆管癌に対して膵頭十二指腸切除(Child法)のあと輸入脚逆流症となつたが, 術後34日目からプロスタルモンの点滴を5日間続けたところ, 急速に改善した. 結論:(1)術後1ヵ月後でも機能的な通過障害がありうる. (2)吻合部にスプリント・カテを通して留置することが, ねじれによる狭窄除去に有効に働く. (3)胃液, 胆汁, 膵液の3者が腸に送りこまれることで, 残胃と腸の蠕動が亢進し, これが通過障害改善に連がる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.42.260