出産にかかわる医療過誤により児を喪失した女性の次子出産への支援 望ましいケアに対する助産師の認識と関連要因

目 的出産にかかわる医療過誤により児を喪失した女性(以下,児を喪失した女性とする)の心理やニーズに対する助産師の認識,施設での支援の現状と課題を明らかにし,児を喪失した女性への望ましいケアに対する助産師の認識に関連する要因を検討する。対象と方法分娩を取り扱っている全国の施設から145施設を無作為抽出し,調査協力の依頼をした。承諾が得られた18施設に勤務する助産師全員(251人)に,自記式質問紙調査を実施した。調査内容は,児を喪失した女性に対する知識,経験,理解度および認識などの支援に関するものとした。本研究は量的記述研究デザイン,関係探索型横断研究であり,Spearmanの順位相関係数,共分散...

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Published in日本助産学会誌 Vol. 31; no. 1; pp. 88 - 97
Main Authors 加藤, 良子, 山﨑, 由美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本助産学会 30.06.2017
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ISSN0917-6357
1882-4307
DOI10.3418/jjam.31.88

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Summary:目 的出産にかかわる医療過誤により児を喪失した女性(以下,児を喪失した女性とする)の心理やニーズに対する助産師の認識,施設での支援の現状と課題を明らかにし,児を喪失した女性への望ましいケアに対する助産師の認識に関連する要因を検討する。対象と方法分娩を取り扱っている全国の施設から145施設を無作為抽出し,調査協力の依頼をした。承諾が得られた18施設に勤務する助産師全員(251人)に,自記式質問紙調査を実施した。調査内容は,児を喪失した女性に対する知識,経験,理解度および認識などの支援に関するものとした。本研究は量的記述研究デザイン,関係探索型横断研究であり,Spearmanの順位相関係数,共分散構造分析を用い分析した。結 果139人(回収率55.4%)から回答が得られた。児を喪失した女性に対する知識や経験は少なく,次子出産ケア経験のある助産師は7人(5.0%)であった。児を喪失した女性の次子出産に必要な支援の理解は,全員が肯定的な認識をもつ項目がある一方,「医療過誤や喪失した児のことをよく知っている医師,助産師が立ち会う」という項目は,68人(51.5%)が否定的な認識をもっていた。児を喪失した女性への望ましいケアに対する助産師の認識に関連する要因については,「ネガティブな心情」よりも「必要な支援の理解」で「望ましいケアに対する認識」の標準化係数(各々−0.12,0.67)が高かった。結 論児を喪失した女性の心理やニーズに対しては,「医療過誤や喪失した児のことをよく知っている医師,助産師が立ち会う」という項目において,過半数以上の助産師が否定的な認識をもっていた。このような認識に至る助産師の心理について要因を含め検討する必要がある。児を喪失した女性の次子出産に対する助産師の知識や経験は少ないという現状が明らかとなり,今後はその少ない知識や経験を最大限に活かし,対象理解に努めていくことが課題である。児を喪失した女性の次子出産に「必要な支援の理解」の向上が児を喪失した女性への「望ましいケアに対する認識」につながることが示唆された。
ISSN:0917-6357
1882-4307
DOI:10.3418/jjam.31.88