ガンマグロブリン大量静注療法時に抗A抗体による溶血性貧血を合併した特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) の1症例

Fc部分を保有する完全分子型のガンマグロブリン製剤(以下γ-G剤)の大量静注療法(以下IVIG)が慢性型特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に有効であることは, 1981年にImbachら1)により報告され, それ以降の多数例の追試によえいその効果が確認されている2)ことから, 今後ますますこの療法が用いられていくものと思われる. しかし, 多人数分のプール血漿を材料とするこのような血漿分画製剤にはIgM型ならびにIgG型の抗A, 抗B抗体が含有されていることを我々は既に報告しており3), 特にIVIGのような大量投与時には当然これらが問題となってくる. 今まではこの点に関しては比較的安全だと考...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 34; no. 4; pp. 444 - 448
Main Authors 石田, 萠子, 安永, 幸二郎, 大久保, 進, 森田, 寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1988
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.34.444

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Summary:Fc部分を保有する完全分子型のガンマグロブリン製剤(以下γ-G剤)の大量静注療法(以下IVIG)が慢性型特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に有効であることは, 1981年にImbachら1)により報告され, それ以降の多数例の追試によえいその効果が確認されている2)ことから, 今後ますますこの療法が用いられていくものと思われる. しかし, 多人数分のプール血漿を材料とするこのような血漿分画製剤にはIgM型ならびにIgG型の抗A, 抗B抗体が含有されていることを我々は既に報告しており3), 特にIVIGのような大量投与時には当然これらが問題となってくる. 今まではこの点に関しては比較的安全だと考えられ, また看過されていた面もあると思われる. 今回我々は, IVIG時に, γ-G剤由来の抗A抗体による溶血性貧血を合併したITPの1症例を経験した. 今後このような症例が増加してくることが考えられることからここに報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.34.444