直腸癌の左総腸骨リンパ節転移再発と思われた結節性筋膜炎類似病変の1例

症例は26歳の男性で,排便時に出血を認め,近医で下部消化管内視鏡検査を施行した.直腸RSにポリープを認め,EMRを施行した.病理所見は中分化管状腺癌であり,粘膜下層浸潤,リンパ管侵襲を認め,追加切除目的に当科紹介となった.腹腔鏡下高位前方切除術を施行し,切除した腸管と郭清したリンパ節に明らかな悪性所見を認めなかった.術後12か月目のCTにて左総腸骨動脈前面に結節影の出現を認め,FDG-PET/CTにてFDGの集積を認めた.直腸癌の左総腸骨リンパ節転移と診断し,手術を行った.腫瘍は左総腸骨動脈から剥離可能であったが,左下腹神経を巻き込んでおり温存不可能であったため,左下腹神経の合併切除を行った....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 7; pp. 418 - 425
Main Authors 大西, 紘平, 松原, 秀雄, 杢野, 泰司, 宇治, 誠人, 三浦, 泰智, 佐藤, 啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2025
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Summary:症例は26歳の男性で,排便時に出血を認め,近医で下部消化管内視鏡検査を施行した.直腸RSにポリープを認め,EMRを施行した.病理所見は中分化管状腺癌であり,粘膜下層浸潤,リンパ管侵襲を認め,追加切除目的に当科紹介となった.腹腔鏡下高位前方切除術を施行し,切除した腸管と郭清したリンパ節に明らかな悪性所見を認めなかった.術後12か月目のCTにて左総腸骨動脈前面に結節影の出現を認め,FDG-PET/CTにてFDGの集積を認めた.直腸癌の左総腸骨リンパ節転移と診断し,手術を行った.腫瘍は左総腸骨動脈から剥離可能であったが,左下腹神経を巻き込んでおり温存不可能であったため,左下腹神経の合併切除を行った.病理所見では,紡錘形細胞が境界不明瞭に増生しており,悪性像は認めず,結節性筋膜炎類似の病変と診断した.術後,射精障害を発症したが,術後2年6か月の現在,直腸癌および結節性筋膜炎の再発を認めていない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0012