内視鏡的経鼻胆管ドレナージが奏効した十二指腸憩室穿孔の1例

症例は69歳の女性で,上腹部痛を主訴に受診した.CTで十二指腸傍乳頭憩室近傍に膿瘍形成を認め,十二指腸憩室穿孔と診断した.全身状態安定していたため,経鼻胃管を留置し,腸管安静,抗菌薬投与による治療を開始した.第2病日の血液検査でCRPが上昇し,CTで後腹膜膿瘍の増悪を認めたため,内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage;以下,ENBDと略記)チューブを十二指腸憩室開口部から膿瘍腔内に留置した.その後,白血球数,CRPは経時的に改善し,CTでも膿瘍腔の縮小を認めたため,第11病日にENBDチューブ抜去,第23病日に退院となった.十二指腸憩室穿孔は...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 8; pp. 451 - 456
Main Authors 千田 圭悟, 験馬 悠介, 伊藤 慧, 山岸 茂, 西村 正基, 岡 智, 佐原 康太, 牧野 洋知
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2025
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2024.0082

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Summary:症例は69歳の女性で,上腹部痛を主訴に受診した.CTで十二指腸傍乳頭憩室近傍に膿瘍形成を認め,十二指腸憩室穿孔と診断した.全身状態安定していたため,経鼻胃管を留置し,腸管安静,抗菌薬投与による治療を開始した.第2病日の血液検査でCRPが上昇し,CTで後腹膜膿瘍の増悪を認めたため,内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage;以下,ENBDと略記)チューブを十二指腸憩室開口部から膿瘍腔内に留置した.その後,白血球数,CRPは経時的に改善し,CTでも膿瘍腔の縮小を認めたため,第11病日にENBDチューブ抜去,第23病日に退院となった.十二指腸憩室穿孔は保存的治療を開始した約50%の症例で重症化し手術治療が必要となり,術後合併症発症率も高いと報告されている.ENBDチューブを用いた内視鏡的ドレナージにより手術治療を回避できる可能性があると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0082