悪性が疑われ胸腹腔鏡補助下食道亜全摘術を施行した炎症性偽腫瘍の1例

症例は51歳の女性で,20日ほど前よりの嚥下時違和感を訴え,上部消化管内視鏡で胸部中部食道の腫瘤を指摘され紹介となった.胸部中部食道右側におよそ半周性の隆起性病変を認め,生検で食道間葉系悪性腫瘍が示唆されるとの診断であった.食道の非上皮性悪性腫瘍と診断し,リンパ節郭清を伴う胸腔鏡腹腔鏡補助下食道亜全摘・胸骨後経路細径胃管再建を施行した.術後の病理組織検査で食道囊胞の破綻による感染を契機に腫瘤形成に至ったいわゆる炎症性偽腫瘍と診断された.食道胃管吻合部の縫合不全を発症したが,全身状態は良好に経過し,術後第54病日に自宅退院となった.悪性と鑑別困難な良性疾患として炎症性偽腫瘍が食道にも存在しうるこ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 7; pp. 375 - 382
Main Authors 富田, 剛治, 今井, 哲也, 龍澤, 泰彦, 上田, 善道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2025
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Summary:症例は51歳の女性で,20日ほど前よりの嚥下時違和感を訴え,上部消化管内視鏡で胸部中部食道の腫瘤を指摘され紹介となった.胸部中部食道右側におよそ半周性の隆起性病変を認め,生検で食道間葉系悪性腫瘍が示唆されるとの診断であった.食道の非上皮性悪性腫瘍と診断し,リンパ節郭清を伴う胸腔鏡腹腔鏡補助下食道亜全摘・胸骨後経路細径胃管再建を施行した.術後の病理組織検査で食道囊胞の破綻による感染を契機に腫瘤形成に至ったいわゆる炎症性偽腫瘍と診断された.食道胃管吻合部の縫合不全を発症したが,全身状態は良好に経過し,術後第54病日に自宅退院となった.悪性と鑑別困難な良性疾患として炎症性偽腫瘍が食道にも存在しうることを念頭に置いておくことも必要であると考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2024.0018