造血器悪性腫瘍患者の好中球減少時におけるイトラコナゾールカプセル剤200mg1日投与の真菌感染症の予防効果

我々がすでに報告した好中球減少時の造血器悪性腫瘍患者におけるイトラコナゾール (ITCZ) カプセル剤200mg/日投与の真菌感染症予防効果の確認及び安全性の検試を目的として, 2001年4月から2004年3月までに当科に入院した同様の患者37症例を対象として非対照, プロスペクテイブ試験を実施した。ITCZ投与中の好中球減少 (<1000/μL) 例は, 31例 (83.8%)(20例 (54.1%) は, 最低値が100/μL未満) であり, そのうち一過性の監視培養陽性が12例 (うち1例は真菌抗原検査も陽性) 認められたが,真菌感染症の発症エピソードは全例において認められなかった...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 58; no. 6; pp. 507 - 517
Main Authors 東梅, 友美, 田中, 淳司, 太田, 秀一, 加藤, 菜穂子, 梅原, 伸太郎, 加畑, 馨, 豊島, 経康, 浅香, 正博, 今村, 雅寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 2005
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Summary:我々がすでに報告した好中球減少時の造血器悪性腫瘍患者におけるイトラコナゾール (ITCZ) カプセル剤200mg/日投与の真菌感染症予防効果の確認及び安全性の検試を目的として, 2001年4月から2004年3月までに当科に入院した同様の患者37症例を対象として非対照, プロスペクテイブ試験を実施した。ITCZ投与中の好中球減少 (<1000/μL) 例は, 31例 (83.8%)(20例 (54.1%) は, 最低値が100/μL未満) であり, そのうち一過性の監視培養陽性が12例 (うち1例は真菌抗原検査も陽性) 認められたが,真菌感染症の発症エピソードは全例において認められなかった。しかし, 監視培養陽性率はStageIII-IV期の悪性リンパ腫において認められた好中球減少持続期間の長さ及び好中球数最低値の低さと相関していた。ITCZの安全性については, ビンカアルカロイド系薬剤との相互作用によると思われる便秘2例 (54%) 及び痺れ2例 (5.4%) が認められたが, 併用薬の変更等により消失しており, ITCZ予防投与によると疑われる明らかな副作用は認められなかった。また, ITCZ血中濃度の測定は28症例で行われ, 投与開始10日前後のトラフ値の平均値は有効血中濃度 (250ng/ml) を超えていた。以上の結果より, 造血器悪性腫瘍患者におけるITCZ予防投与の有用性が示唆された。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.58.507