呼吸器感染症におけるCeftriaxone1日1回投与法の臨床的検討と喀痰中濃度
呼吸器感染症に対するCeftriaxone (CTRX) 1日1回投与の有効性と安全性を検討し, 併せて喀痰中濃度を測定し, 以下の成績を得た。 1. 呼吸器感染症39例に対する本剤の臨床検討では, 著効12例, 有効23例, やや有効3例, 無効1例で, 有効率は89.7%であった。このうち, 急性気管支炎, 肺化膿症, 気管支拡張症, 慢性気管支炎及び閉塞性肺炎では100%の有効率を示した。 2. CTRX1g又は2gを各2例に30分点滴静注して血中濃度及び尿中回収率を測定した。腎機能が低下するにっれ尿中排泄率は低下する傾向を示したが, 肝機能が正常であれば血中濃度半減期の延長は軽度であっ...
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Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 42; no. 4; pp. 921 - 929 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
1989
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Summary: | 呼吸器感染症に対するCeftriaxone (CTRX) 1日1回投与の有効性と安全性を検討し, 併せて喀痰中濃度を測定し, 以下の成績を得た。 1. 呼吸器感染症39例に対する本剤の臨床検討では, 著効12例, 有効23例, やや有効3例, 無効1例で, 有効率は89.7%であった。このうち, 急性気管支炎, 肺化膿症, 気管支拡張症, 慢性気管支炎及び閉塞性肺炎では100%の有効率を示した。 2. CTRX1g又は2gを各2例に30分点滴静注して血中濃度及び尿中回収率を測定した。腎機能が低下するにっれ尿中排泄率は低下する傾向を示したが, 肝機能が正常であれば血中濃度半減期の延長は軽度であった。又, 2例で喀痰中濃度を測定したところ, 1例では12時間後に1.9μg/ml, 他の1例では22時間後に0.9μg/mlと喀痰中濃度の持続性が認められた。 Ceftriaxone (CTRX) はスイスのF.Hoffmann-La Roche社が開発したCephem系抗生物質である。CTRXは抗菌スペクトルの広さ, 抗菌力の強さ, β-Lactamaseに対する安定性等の面からはいわゆる第3世代に属するが, 薬動力学からみた場合, 従来の第3世代Cephem剤とはかなり異なる特微を有している。すなわち, 血中濃度半減期T1/2 (β) は健常成人19に静注時で7~8時間と著しく長く, 又, 常用量を単回投与した際, 多くの起炎菌に対するMIC80を上回る血中濃度が24時間持続する。又, 各組織内及び体液中への移行も良く, 各科領域感染症に対して1日1回投与による治療を可能にした。今回, 著者らは呼吸器感染症に対してCTRXの1日1回投与による有効性と安全性を検討し, 併せて喀痰中濃度を測定したのでその成績につき報告する。 |
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ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.42.921 |