I.COVID-19パンデミックによる大腸がん検診の減少と大腸がん診断の遅れ

COVID-19パンデミックにより,がん検診は世界的に停滞した.わが国においても第1回緊急事態宣言の発令に合わせて多くの施設でがん検診が中断され,受診者数は1~2割程度減少したとされているが,正確な数字は把握できていない.一方海外では,元々検診受診者の情報が個別に管理されており,パンデミック下での受診者数の減少や精密検査のキャパシティー低下などのデータを迅速かつ正確に把握し,それをシミュレーションモデルを用いて解析することによって,根拠のある対応策を打ち出している.2020年の院内がん登録の集計結果からも,検診で発見された大腸がん患者数は減少しており,また発見がんも早期の割合が減少していた.こ...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 10; pp. 417 - 423
Main Authors 小林, 望, 関口, 正宇, 斎藤, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.417

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Summary:COVID-19パンデミックにより,がん検診は世界的に停滞した.わが国においても第1回緊急事態宣言の発令に合わせて多くの施設でがん検診が中断され,受診者数は1~2割程度減少したとされているが,正確な数字は把握できていない.一方海外では,元々検診受診者の情報が個別に管理されており,パンデミック下での受診者数の減少や精密検査のキャパシティー低下などのデータを迅速かつ正確に把握し,それをシミュレーションモデルを用いて解析することによって,根拠のある対応策を打ち出している.2020年の院内がん登録の集計結果からも,検診で発見された大腸がん患者数は減少しており,また発見がんも早期の割合が減少していた.このことが長期的にどのような影響を及ぼすのか,それを防ぐにはどのような対策を講じるべきなのかを議論する上で,国レベルで全国民のデータ集積を行う体制作りが急務である.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.417