V.クローン病肛門病変に対する診断と治療
クローン病の肛門病変は特徴的な所見であり,クローン病診断基準における副所見の1つになっている.肛門病変の診断は問診,診察,画像検査を組み合わせて行い,必要に応じて専門医へのコンサルトを行う.頻度の高い肛門病変として,痔瘻と肛門周囲膿瘍がある.クローン病による痔瘻は複雑で多発することが多く,seton法ドレナージなどの外科治療を要することが多い.薬物治療(免疫調節薬,生物学的製剤)は,外科治療で局所の感染を制御した後,症状の軽減や再燃の予防を目的として行われることがある.新たな治療法としては,既存治療に対して効果が不十分の複雑痔瘻に対して,再生医療等製品(ヒト体性幹細胞加工製品)であるダルバドス...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 533 - 541 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本大腸肛門病学会
2024
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.77.533 |
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Summary: | クローン病の肛門病変は特徴的な所見であり,クローン病診断基準における副所見の1つになっている.肛門病変の診断は問診,診察,画像検査を組み合わせて行い,必要に応じて専門医へのコンサルトを行う.頻度の高い肛門病変として,痔瘻と肛門周囲膿瘍がある.クローン病による痔瘻は複雑で多発することが多く,seton法ドレナージなどの外科治療を要することが多い.薬物治療(免疫調節薬,生物学的製剤)は,外科治療で局所の感染を制御した後,症状の軽減や再燃の予防を目的として行われることがある.新たな治療法としては,既存治療に対して効果が不十分の複雑痔瘻に対して,再生医療等製品(ヒト体性幹細胞加工製品)であるダルバドストロセルが2021年に本邦で承認され,基準を満たした施設・実施医のもとで使用可能となった.クローン病の肛門病変は難治でありQOLを大きく妨げるため,適切な診断と治療が重要である. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.77.533 |