マグネシアの焼結中期過程における気孔組織と粒径との関係

マグネシア微粉末 (粒径0.1μm以下) を温度と圧力を変えて成形し, 1400℃で焼成して, 焼結中期過程における焼結体の組織と粒径との関係を検討した. 粒界に接する気孔の体積分率 (Pgb) と粒径 (D) との関係は組織変化の特徴を示すものと考えられ, 一般的にこれを三つのタイプに分類した. マグネシアはこのうち比較的不均一な組織変化をする部類に属すると思われ, Pgb∝1/D1/3の関係を保って粒子成長することが分った. この不均一性は測定した焼結体中の固-固-気体間の2面角の広い範囲のばらつきと, その結果生ずる組織の不均一に対応すると考えられ, 焼成前の成形体の充てん状態とは無関係...

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Published in窯業協會誌 Vol. 86; no. 998; pp. 476 - 484
Main Authors 上薗, 裕史, 浜野, 健也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本セラミックス協会 1978
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Summary:マグネシア微粉末 (粒径0.1μm以下) を温度と圧力を変えて成形し, 1400℃で焼成して, 焼結中期過程における焼結体の組織と粒径との関係を検討した. 粒界に接する気孔の体積分率 (Pgb) と粒径 (D) との関係は組織変化の特徴を示すものと考えられ, 一般的にこれを三つのタイプに分類した. マグネシアはこのうち比較的不均一な組織変化をする部類に属すると思われ, Pgb∝1/D1/3の関係を保って粒子成長することが分った. この不均一性は測定した焼結体中の固-固-気体間の2面角の広い範囲のばらつきと, その結果生ずる組織の不均一に対応すると考えられ, 焼成前の成形体の充てん状態とは無関係であった. しかし粒内への気孔の取り込みの時期や量などを含めて考えれば, 成形体の充てん状態は組織に大きく影響し, ホットプレス成形の場合, 焼成前に55%以上の相対密度があると, 気孔は粒界に接したまま成長し, 粒内への取り込みを抑えることができた. 一方常温で静水圧成形すると, 逆に焼成前の相対密度の高い方が早く粒内に気孔を取り込む傾向が認められ, これらを利用して成形温度と圧力を適当に選ぶだけで, 焼結体の組織制御がある程度可能になることが分った.
ISSN:0009-0255
1884-2127
DOI:10.2109/jcersj1950.86.998_476