濃縮VIII因子製剤持続定量投与法による血中VIII因子濃度の安定化と総投与量削減効果

近年の抗血友病剤の発達は血友病の大手術においてさえ止血管理を容易にさせ, その結果, 関節機能障害の改善を目的とする等, 種々の手術例の増加を見, 血友病治療に大きく貢献している. また, 安全な止血管理に必要十分な血中第VIII因子レベルを目標とした補充が容易である. このことは, 過剰量の投与, もしくは頻回の投与により第VIII因子の血中半減期が短いという補充療法上の問題に対処し得ることとなるが, 必然的に手術の経費の高騰を紹いた. このような観点から止血管理面のみならず, 経済面からも合理的な第VIII因子補充法の開発は重要なテーマである. 今回, 我々は血友病の手術に対する止血管理に...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 31; no. 2; pp. 117 - 121
Main Authors 長沢, 洋, 福江, 英尚, 小池, 克昌, 新井, 盛夫, 鈴木, 美登利, 藤巻, 道男, 福武, 勝博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1985
日本輸血学会
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Summary:近年の抗血友病剤の発達は血友病の大手術においてさえ止血管理を容易にさせ, その結果, 関節機能障害の改善を目的とする等, 種々の手術例の増加を見, 血友病治療に大きく貢献している. また, 安全な止血管理に必要十分な血中第VIII因子レベルを目標とした補充が容易である. このことは, 過剰量の投与, もしくは頻回の投与により第VIII因子の血中半減期が短いという補充療法上の問題に対処し得ることとなるが, 必然的に手術の経費の高騰を紹いた. このような観点から止血管理面のみならず, 経済面からも合理的な第VIII因子補充法の開発は重要なテーマである. 今回, 我々は血友病の手術に対する止血管理に際し普遍的な濃縮第VIII因子製剤のone shot投与法に代えて定量的持続点滴投与法を行ったところ良好な成績を得たので報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.31.117