卵巣様間質を伴う肝内胆管嚢胞腺腫の1例
卵巣様間質を伴う肝内胆管嚢胞腺腫は,全例女性に発症する比較的まれな肝嚢胞性疾患である.症例は44歳,女性.2003年に近医で腹部超音波検査を行い,肝に2.5cmの腫瘤を指摘され当院紹介受診となった.血管腫と診断し,経過観察していたが,2007年に7cmと増大を認めたため再び精査となった.腹部CTでは,肝S4に最大径78mmの多房性嚢胞性腫瘍が認められ,ERCPでは腫瘍と肝内胆管との交通は認められなかった.腫瘍マーカーは正常であった.胆管嚢胞腺腫または腺癌の診断で肝左葉切除術を施行した.摘出標本は多房性嚢胞で明らかな充実性部分は認めなかった.病理組織学的検査では悪性所見はなく,卵巣様間質を伴う肝...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 9; pp. 2324 - 2328 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.73.2324 |
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Summary: | 卵巣様間質を伴う肝内胆管嚢胞腺腫は,全例女性に発症する比較的まれな肝嚢胞性疾患である.症例は44歳,女性.2003年に近医で腹部超音波検査を行い,肝に2.5cmの腫瘤を指摘され当院紹介受診となった.血管腫と診断し,経過観察していたが,2007年に7cmと増大を認めたため再び精査となった.腹部CTでは,肝S4に最大径78mmの多房性嚢胞性腫瘍が認められ,ERCPでは腫瘍と肝内胆管との交通は認められなかった.腫瘍マーカーは正常であった.胆管嚢胞腺腫または腺癌の診断で肝左葉切除術を施行した.摘出標本は多房性嚢胞で明らかな充実性部分は認めなかった.病理組織学的検査では悪性所見はなく,卵巣様間質を伴う肝内胆管嚢胞腺腫の診断であった.本疾患は術前に癌と鑑別するのは困難とされ,悪性化の可能性もあるので外科的に全切除することが望ましい. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.73.2324 |