肺切除中にフィブリン糊によってアナフィラキシーショックを発症した1例
フィブリン糊によってアナフィラキシーを発症したと考えられる稀な1例を経験したので報告する. 症例は74歳の女性で,右上葉原発性肺癌,臨床病期IA期(cT1aN0M0)が疑われた.胸腔鏡下肺部分切除を行い,術中迅速病理診断にて原発性肺癌と診断されたため,右上葉切除とND2a-2郭清を施行した.郭清後にポリグリコール酸シートとフィブリン糊を使用して気管支断端および葉間形成部を被覆したところ,フィブリン糊の噴霧終了後からショックとなった.全身に発赤を伴っていたことから,フィブリン糊によるアナフィラキシーショックと判断した.直ちにステロイドおよびエピネフリンを投与し,可及的にポリグリコール酸シートとフ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 9; pp. 2219 - 2224 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2012
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.73.2219 |
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Summary: | フィブリン糊によってアナフィラキシーを発症したと考えられる稀な1例を経験したので報告する. 症例は74歳の女性で,右上葉原発性肺癌,臨床病期IA期(cT1aN0M0)が疑われた.胸腔鏡下肺部分切除を行い,術中迅速病理診断にて原発性肺癌と診断されたため,右上葉切除とND2a-2郭清を施行した.郭清後にポリグリコール酸シートとフィブリン糊を使用して気管支断端および葉間形成部を被覆したところ,フィブリン糊の噴霧終了後からショックとなった.全身に発赤を伴っていたことから,フィブリン糊によるアナフィラキシーショックと判断した.直ちにステロイドおよびエピネフリンを投与し,可及的にポリグリコール酸シートとフィブリン糊を除去した後,十分に洗浄を行って手術終了とした.術後は約1日にわたって昇圧薬の持続投与を要した. 薬剤誘発性リンパ球刺激試験ではフィブリノゲン溶解液に対して著明に高値を示していた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.73.2219 |