救命救急医療におけるテイコプラニン(TEIC) 高用量投与設計法の検討
「緒言」 teicoplanin(以下, TEICと略す)はグリコペプチド系のmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症治療薬である. その抗菌効果は時間依存性であるため, 治療効果は, 標的部位の薬物濃度が最小発育阻止濃度(MIC)を超える時間に依存する. また, 蛋白結合率は約90%と高く1,2)半減期が約50時間と長い2,3)ため, 速やかに有効血中トラフ濃度に到達させるためには負荷投与(loading dose)の投与を必要とする薬剤である. 添付文書による用法用量は「初日400mgまたは800mgを2回に分け, 以後, 1...
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Published in | 医療薬学 Vol. 34; no. 7; pp. 662 - 670 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2008
日本医療薬学会 |
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Summary: | 「緒言」 teicoplanin(以下, TEICと略す)はグリコペプチド系のmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症治療薬である. その抗菌効果は時間依存性であるため, 治療効果は, 標的部位の薬物濃度が最小発育阻止濃度(MIC)を超える時間に依存する. また, 蛋白結合率は約90%と高く1,2)半減期が約50時間と長い2,3)ため, 速やかに有効血中トラフ濃度に到達させるためには負荷投与(loading dose)の投与を必要とする薬剤である. 添付文書による用法用量は「初日400mgまたは800mgを2回に分け, 以後, 1日1回200mgまたは400mgを30分以上かけて点滴静注」となっており, 有効血中濃度は, 「トラフレベルとして5~10μg/mL, 敗血症などの重症感染症では10μg/mL以上を保つこと」と記載されている4). 救命救急医療においては重症患者が多く, さらに高齢者や免疫力の低下したいわゆるcompromised hostの患者も多いのでMRSA感染症の合併率が高い. |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.34.662 |