二期的に切除した両側後腹膜分化型脂肪肉腫の1例

症例は78歳,男性.両下肢の浮腫が出現したため近医を受診し,超音波検査で下大静脈(IVC)を圧迫する肝下面の腫瘍を指摘され,当科に紹介された.腹部CTおよびMRIでは最大径11cmの低濃度充実性腫瘤を右腎頭側に認め,さらに左腹腔内の大半を占める最大径37cmの巨大な嚢胞様の腫瘤を認めた.両側の後腹膜腫瘍に対し手術は二期的に施行した.初回は左側の巨大腫瘤切除を行い,約1カ月後に右側腫瘤の手術を行った.右側腫瘤はIVCに強固に癒着していたため,腫瘍の一部を残存する形で摘出した.左は4,780g,右は291gであった.割面は,左は薄い線維性の被膜に被われ分葉状,黄色調の柔らかい脂肪腫様の腫瘤で,右は...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 9; pp. 2392 - 2398
Main Authors 須納瀬, 豊, 蒔田, 富士雄, 小林, 光伸, 竹吉, 泉, 東郷, 望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2392

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Summary:症例は78歳,男性.両下肢の浮腫が出現したため近医を受診し,超音波検査で下大静脈(IVC)を圧迫する肝下面の腫瘍を指摘され,当科に紹介された.腹部CTおよびMRIでは最大径11cmの低濃度充実性腫瘤を右腎頭側に認め,さらに左腹腔内の大半を占める最大径37cmの巨大な嚢胞様の腫瘤を認めた.両側の後腹膜腫瘍に対し手術は二期的に施行した.初回は左側の巨大腫瘤切除を行い,約1カ月後に右側腫瘤の手術を行った.右側腫瘤はIVCに強固に癒着していたため,腫瘍の一部を残存する形で摘出した.左は4,780g,右は291gであった.割面は,左は薄い線維性の被膜に被われ分葉状,黄色調の柔らかい脂肪腫様の腫瘤で,右は白色充実性で硬い腫瘍であった.病理組織学的にはともに分化型脂肪肉腫であった.IVCに癒着した腫瘍の残存部は放射線治療を行い,術後1年まで明らかな残存部の増大や転移は認めなかったが,他病死した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2392