膵全摘にて根治した膵intraductal tubulopapillary neoplasmの1例

症例は61歳,男性.糖尿病の増悪を機に施行された腹部USで膵腫瘍を認めた.腹部CT,MRIで膵全域におよぶ膵管拡張と膵実質の菲薄化を指摘され,ERCPで著明に拡張した主膵管内に充満する腫瘍が疑われた.特異な膵管内進展を伴う膵全体癌と診断し膵全摘術を施行した.腫瘍は病理学的に乳頭状・管状発育形態を併せ持つ腺癌で,T3N0M0 stage IIIであった.免疫組織学的にmucin core protein(MUC)-1,cytokeratin-7陽性であったが,MUC-2,MUC-5AC,chromogranin A,synaptophysin,trypsinが陰性であり,最終的にintraduc...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 8; pp. 2061 - 2067
Main Authors 柴崎, 泰, 稲葉, 圭介, 馬場, 聡, 今野, 弘之, 鈴木, 昌八, 坂口, 孝宣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2061

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Summary:症例は61歳,男性.糖尿病の増悪を機に施行された腹部USで膵腫瘍を認めた.腹部CT,MRIで膵全域におよぶ膵管拡張と膵実質の菲薄化を指摘され,ERCPで著明に拡張した主膵管内に充満する腫瘍が疑われた.特異な膵管内進展を伴う膵全体癌と診断し膵全摘術を施行した.腫瘍は病理学的に乳頭状・管状発育形態を併せ持つ腺癌で,T3N0M0 stage IIIであった.免疫組織学的にmucin core protein(MUC)-1,cytokeratin-7陽性であったが,MUC-2,MUC-5AC,chromogranin A,synaptophysin,trypsinが陰性であり,最終的にintraductal tubulopapillary neoplasm(ITPN)と診断した.ITPNは比較的新しい疾患概念であり,これまで報告されてきた膵管内腫瘍との関係性を含め考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2061