開腹ドレナージ術にて救命したClostridium perfringensによる肝膿瘍破裂の1例

症例は75歳,男性.急性発症の発熱および上腹部痛を主訴に来院した.腹部全体が板状硬で腹膜刺激症状を呈し,腹部造影CTにてfree airおよび肝右葉後区域S6内部にガス像を含む3cmのlow density areaを認めた.ガス産生性肝膿瘍破裂による急性腹膜炎と診断し,緊急開腹ドレナージ術を施行した.腹水細菌培養検査にてClostridium perfringens(以下C. perfringensと略記)が同定された.術後経過は良好で,第27病日に軽快退院した.同菌によるガス産生性肝膿瘍はまれであるが,溶血を合併すると予後不良となり,特にガス産生性肝膿瘍を認める場合には注意が必要である.本...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 8; pp. 2014 - 2020
Main Authors 佐藤, 直哉, 北村, 正敏, 菅野, 博隆, 後藤, 満一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2014

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Summary:症例は75歳,男性.急性発症の発熱および上腹部痛を主訴に来院した.腹部全体が板状硬で腹膜刺激症状を呈し,腹部造影CTにてfree airおよび肝右葉後区域S6内部にガス像を含む3cmのlow density areaを認めた.ガス産生性肝膿瘍破裂による急性腹膜炎と診断し,緊急開腹ドレナージ術を施行した.腹水細菌培養検査にてClostridium perfringens(以下C. perfringensと略記)が同定された.術後経過は良好で,第27病日に軽快退院した.同菌によるガス産生性肝膿瘍はまれであるが,溶血を合併すると予後不良となり,特にガス産生性肝膿瘍を認める場合には注意が必要である.本症例は発症後比較的短時間で治療しえたため,救命できたものと考えられた.C. perfringensに起因する肝膿瘍の1例を経験したため,病態と治療法につき文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2014