肛門ポリープ様病変で発見された肛門管粘液癌の1例

筋層浸潤を伴った直径5mmの肛門腺由来粘液癌を報告する.症例:55歳,女性.子宮頸癌,甲状腺癌の手術既往がある.排便時に肛門腫瘤を自覚して他院を受診し,軽快せず当院を受診した.直腸指診で肛門管中部に長径7mm短径5mmの一部硬結を伴った腫瘍を触知,CTで同部に造影される腫瘍を認め,経肛門的に腫瘍切除を行ったところ直径5mmの筋層浸潤を伴った低分化型粘液癌を扁平上皮下に認めたので,直腸切断術を施行した.切除標本の検索ではリンパ節転移はなく,局所にも残存悪性細胞を認めなかった.考察:肛門管癌は出血など症状のある症例が多いにもかかわらず,早期の発見はまれである.また本症例のように非常に小さい腫瘍とし...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 9; pp. 2320 - 2323
Main Authors 荻原, 裕明, 伊藤, 憲雄, 芳澤, 淳一, 竹内, 信道, 久保, 直樹, 中山, 中
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.2320

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Summary:筋層浸潤を伴った直径5mmの肛門腺由来粘液癌を報告する.症例:55歳,女性.子宮頸癌,甲状腺癌の手術既往がある.排便時に肛門腫瘤を自覚して他院を受診し,軽快せず当院を受診した.直腸指診で肛門管中部に長径7mm短径5mmの一部硬結を伴った腫瘍を触知,CTで同部に造影される腫瘍を認め,経肛門的に腫瘍切除を行ったところ直径5mmの筋層浸潤を伴った低分化型粘液癌を扁平上皮下に認めたので,直腸切断術を施行した.切除標本の検索ではリンパ節転移はなく,局所にも残存悪性細胞を認めなかった.考察:肛門管癌は出血など症状のある症例が多いにもかかわらず,早期の発見はまれである.また本症例のように非常に小さい腫瘍として発見されても,筋層浸潤を伴った進行癌であったことから,肛門腫瘍の診察においては大きさによらず本疾患の存在を意識すべきであると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2320