大腸全摘後に壊疽性膿皮症を発症した潰瘍性大腸炎の3例

壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum:PG)は潰瘍性大腸炎に合併する皮膚疾患であり,重症例ではそれ自体が手術適応となる.大腸全摘により改善するという報告が多いが,われわれは大腸全摘後に発症した3例を経験したので報告する.症例は3例とも女性(37歳,32歳,39歳)でPGの発症部位はそれぞれ右足関節,右下肢,左下肢で,大腸全摘からPG発症までの期間は4年,5カ月,1.5カ月であった.治療は2例にプレドニゾロン投与,血液成分除去療法,免疫調節剤を組み合わせ,1例は肛門周囲膿瘍を合併していたため,第一選択として血液成分除去療法を行うことにより改善を認めた.また3例とも回腸嚢肛門管吻...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 6; pp. 1450 - 1454
Main Authors 二見, 喜太郎, 平野, 憲二, 二木, 了, 永川, 祐二, 前川, 隆文, 東, 大二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.1450

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Summary:壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum:PG)は潰瘍性大腸炎に合併する皮膚疾患であり,重症例ではそれ自体が手術適応となる.大腸全摘により改善するという報告が多いが,われわれは大腸全摘後に発症した3例を経験したので報告する.症例は3例とも女性(37歳,32歳,39歳)でPGの発症部位はそれぞれ右足関節,右下肢,左下肢で,大腸全摘からPG発症までの期間は4年,5カ月,1.5カ月であった.治療は2例にプレドニゾロン投与,血液成分除去療法,免疫調節剤を組み合わせ,1例は肛門周囲膿瘍を合併していたため,第一選択として血液成分除去療法を行うことにより改善を認めた.また3例とも回腸嚢肛門管吻合術を行い直腸粘膜がわずかに残存していたが,PG発症時,残存直腸粘膜の再燃や回腸嚢炎は認めなかった. 潰瘍性大腸炎におけるPGは,大腸全摘を行った後でもそのリスクに変わりはないものとして観察を行う必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.1450