カバードステントで止血できた動脈再建膵頭十二指腸切除後出血の1例

症例は62歳,男性.2cm大の膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術を行った.術前CT検査で腹腔動脈起始部の狭窄を認め,正中弓状靱帯症候群を疑った.術中に弓状靱帯の切離を行ったが腹腔動脈の血流は改善せず,動脈血行再建を要した.胃十二指腸動脈は腫瘍の浸潤があり温存できなかったため,肝血流維持のため右大伏在静脈グラフトを用いて右外腸骨動脈から胃十二指腸動脈断端をバイパスし血行再建を行った.術後2回にわたりグラフトからの出血を認めたが,いずれもグラフト内にカバードステントを留置し,止血と同時に肝血流を温存した.以後再出血なく軽快退院した.本症例は腹腔動脈閉塞症例に対する膵頭十二指腸切除術の血行再建術式,お...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 9; pp. 2357 - 2362
Main Authors 古山, 貴基, 伴, 大輔, 工藤, 篤, 田中, 真二, 岸野, 充浩, 有井, 滋樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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Summary:症例は62歳,男性.2cm大の膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術を行った.術前CT検査で腹腔動脈起始部の狭窄を認め,正中弓状靱帯症候群を疑った.術中に弓状靱帯の切離を行ったが腹腔動脈の血流は改善せず,動脈血行再建を要した.胃十二指腸動脈は腫瘍の浸潤があり温存できなかったため,肝血流維持のため右大伏在静脈グラフトを用いて右外腸骨動脈から胃十二指腸動脈断端をバイパスし血行再建を行った.術後2回にわたりグラフトからの出血を認めたが,いずれもグラフト内にカバードステントを留置し,止血と同時に肝血流を温存した.以後再出血なく軽快退院した.本症例は腹腔動脈閉塞症例に対する膵頭十二指腸切除術の血行再建術式,および術後出血に対するInterventional Radiologyの手技の点から示唆に富む症例であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.2357