総排泄腔遺残症を合併した腎不全症例における腎移植の問題点
【目的】総排泄腔遺残症(PC)は尿道、膣、直腸が1本の共通管である総排泄腔に合流し、会陰部に開口する先天性形成異常である。下部尿路異常を伴うPCの腎不全症例では尿路治療、透析導入と腎移植、肛門・膣形成(根治術)のタイミングに苦慮することがある。今回PCの腎移植について後方視的に検討した。【方法】2003年~2023年のPC腎移植症例6例を対象とし、尿路治療を先行した症例(A群)と腎移植を先行した症例(B群)に分け、尿路異常に対する治療、根治術、透析導入、腎移植との関係について検討した。【結果】A群は3例で移植時年齢の平均は13歳0か月。献腎移植1例、生体腎移植2例。移植前の尿路治療では膀胱拡大...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s325_1 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s325_1 |
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Summary: | 【目的】総排泄腔遺残症(PC)は尿道、膣、直腸が1本の共通管である総排泄腔に合流し、会陰部に開口する先天性形成異常である。下部尿路異常を伴うPCの腎不全症例では尿路治療、透析導入と腎移植、肛門・膣形成(根治術)のタイミングに苦慮することがある。今回PCの腎移植について後方視的に検討した。【方法】2003年~2023年のPC腎移植症例6例を対象とし、尿路治療を先行した症例(A群)と腎移植を先行した症例(B群)に分け、尿路異常に対する治療、根治術、透析導入、腎移植との関係について検討した。【結果】A群は3例で移植時年齢の平均は13歳0か月。献腎移植1例、生体腎移植2例。移植前の尿路治療では膀胱拡大・導尿路造設が1例、根治術・導尿路造設が1例で行われた。B群は3例で移植時年齢の平均は5歳2か月。全例移植前に腹膜透析が導入され、2例は移植術直前に血液透析へ移行した。生体腎移植3例で、2例は移植術中に膀胱皮膚瘻を造設した。【考察】当院ではPCに対する尿路再建・根治術、腎移植の両方を行っており、A群は尿路の低圧ドレナージが獲得された段階で腎移植を施行し、良好な腎機能を維持することができた。B群は腎代替療法後、腎移植や尿路再建・根治術目的に3歳以降で当院へ紹介となり、移植時や移植後には尿路の低圧化が必要となった。PCの腎不全では尿路治療、根治術、腎移植のプランニングを適切に行うことが重要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s325_1 |