BKPyV関連腎症回避のための国際コンセンサスガイドラインの導入

【背景】2024年にだされたBKポリオーマウイルス(BKPyV)の管理における国際ガイドラインでは,移植前のリスク因子を同定し、移植後の全症例におけるモニタリングを推奨している。当施設では腎移植後のBKPyV-DNA-PCRのモニタリングを全症例に施行しているが、2016年から2023年までに施行された生体腎移植159症例は、20症例(12.6%)がBKPyV血症、そのうち3症例(1.9%)がBKPyV腎症に至った。【方法】これらの症例の移植前のドナー尿中BKV排出量(copy/ml)、ドナー(D)・レシピエント(R)血中の抗BKV-IgG(IV:Index Value)を測定し、レトロスペク...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s164_1
Main Authors 小林, 孝彰, 三輪, 祐子, 安次嶺, 聡, 岩崎, 研太, 石山, 宏平, 河田, 賢, 雫, 真人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s164_1

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Summary:【背景】2024年にだされたBKポリオーマウイルス(BKPyV)の管理における国際ガイドラインでは,移植前のリスク因子を同定し、移植後の全症例におけるモニタリングを推奨している。当施設では腎移植後のBKPyV-DNA-PCRのモニタリングを全症例に施行しているが、2016年から2023年までに施行された生体腎移植159症例は、20症例(12.6%)がBKPyV血症、そのうち3症例(1.9%)がBKPyV腎症に至った。【方法】これらの症例の移植前のドナー尿中BKV排出量(copy/ml)、ドナー(D)・レシピエント(R)血中の抗BKV-IgG(IV:Index Value)を測定し、レトロスペクティブ解析を行った。【結果】ROC解析で得たcut off値を元に、BKPyV血症のリスク判定基準を定めた。D:尿中BKV-DNA > 130 copy/ml, anti BKV-IgG >5.3 IV かつ R: anti BKV-IgG <1.8IV。この基準を解析した結果、感度:50%,特異度:85.7%,PPV(陽性的中率):40.9%, NPV(陰性的中率):89.7%で,リスク比(RR)=6.0でP=0.0006であった。【結論・考察】腎移植後のモニタリングに加え、腎移植前のD/Rのリスク因子解析がBKPyV腎症回避の鍵となり、今後予防投与の効果が報告されているBKPyV中和抗体、IVIGの投与基準となり得る。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s164_1