脳死膵腎移植の周術期管理における早期人工呼吸器離脱の意義

(背景)脳死膵腎移植の周術期管理は、症例数が少なく定型化が難しい。特に循環管理では、腎血流維持などで水分調整に苦慮することも多い。当施設でも、以前は血流維持を優先し人工呼吸器からの離脱を遅らせていたが、2020年からは、早期抜管を基本としている。(方法)早期抜管を目指して管理を行った2020年以降の16例(A群)と、その直前の10例(B群)の計26例で手術因子、ICU滞在期間、術後在院日数などについて検討した。A群はさらに術中に抜管した9例(A1群)と、術後ICUで抜管した7例(A2群)に分けて解析した。(結果) 手術時間は、B群に比べ、A1群は有意に短かったのに対し(p=0.031)、A2群...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s342_2
Main Authors 岩上, 佳史, 土岐, 祐一郎, 山田, 大作, 井口, 直也, 高橋, 秀典, 長谷川, 慎一郎, 佐々木, 一樹, 野田, 剛広, 江口, 英利, 小林, 省吾, 富丸, 慶人, 秋田, 裕史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s342_2

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Summary:(背景)脳死膵腎移植の周術期管理は、症例数が少なく定型化が難しい。特に循環管理では、腎血流維持などで水分調整に苦慮することも多い。当施設でも、以前は血流維持を優先し人工呼吸器からの離脱を遅らせていたが、2020年からは、早期抜管を基本としている。(方法)早期抜管を目指して管理を行った2020年以降の16例(A群)と、その直前の10例(B群)の計26例で手術因子、ICU滞在期間、術後在院日数などについて検討した。A群はさらに術中に抜管した9例(A1群)と、術後ICUで抜管した7例(A2群)に分けて解析した。(結果) 手術時間は、B群に比べ、A1群は有意に短かったのに対し(p=0.031)、A2群は有意差を認めなかった(p=0.831)。一方で出血量は3群間で有意差を認めなかった。A2群の挿管期間は中央値で2日(1-3日)に対し、B群は15.5日(6-20日)と、有意にB群で長く、術後の循環作動薬使用日数も、B群で有意に長かった(p=0.002)。ICU滞在日数はB群で有意に長かったが(p<0.001)、A1、A2群では有意差を認めなかった(p=0.191)。一方で抜管後ICU滞在日数は3群間で有意差を認めなかった(p=0.348)。術後在院日数では、A1群はB群に比べ有意に短かったが(p=0.041)、A2群とB群では有意差を認めず(p=0.529)、またICU退室後の在院日数は3群間で有意差を認めなかった(p=0.463)。(結語)術後早期の抜管は、術後管理に特に問題は無く、有意にICU滞在期間を短縮させ、術後在院日数の短縮にも寄与する可能性が示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s342_2