親への移行期における助産師の夫婦関係支援の強化:研修プログラムの活用可能性

目 的本研究の目的は,助産師を対象とした夫婦の関係性支援プログラムの研修会を実施し,夫婦支援プログラムの活用の可能性を検討することである。対象と方法研究デザインは,量的研究と質的記述的研究を用いた混合研究である。対象者は全国の病産院・助産所の助産師とした。研修プログラムは,eラーニング動画とオンラインによる集合研修だった。調査内容は,eラーニング動画の確認テスト,受講前後の夫婦の関係性支援の理解と認識であり,研修会の意見,夫婦に向けた支援コンテンツの活用の希望と理由,夫婦関係のアセスメントツールの活用への期待と課題について自由記述で回答を得た。受講前後の比較はMann-Whitney U検定を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本助産学会誌 Vol. 39; no. 2; pp. 370 - 379
Main Authors 中島 久美子, 行田 智子, 廣瀬 文乃, 綿貫 真歩, 吉野 めぐみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本助産学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-6357
1882-4307
DOI10.3418/jjam.JJAM-2024-0058

Cover

More Information
Summary:目 的本研究の目的は,助産師を対象とした夫婦の関係性支援プログラムの研修会を実施し,夫婦支援プログラムの活用の可能性を検討することである。対象と方法研究デザインは,量的研究と質的記述的研究を用いた混合研究である。対象者は全国の病産院・助産所の助産師とした。研修プログラムは,eラーニング動画とオンラインによる集合研修だった。調査内容は,eラーニング動画の確認テスト,受講前後の夫婦の関係性支援の理解と認識であり,研修会の意見,夫婦に向けた支援コンテンツの活用の希望と理由,夫婦関係のアセスメントツールの活用への期待と課題について自由記述で回答を得た。受講前後の比較はMann-Whitney U検定を行い,自由記述内容は質的帰納的分析を行った。結 果参加者51名のうち,32名が研修プログラム受講後に回答した。研修後の得点は,9項目中7項目が3.0点以上であり,夫婦支援に対する理解と認識が高かった。研修会に対する参加者の感想は,夫婦に対する助産支援の重要性を再認識した,夫婦に対する助産支援の具体的な方法を理解できたなど,肯定的な意見が多かった。しかし,COVID-19の制限による夫婦支援への困難を指摘する参加者もいた。また,8割以上が夫婦に向けた支援コンテンツの利用を希望しており,その理由として,子どもがいる生活への準備の機会などを挙げていた。夫婦関係のアセスメントツールは,個別・集団場面において夫婦の強みを高める助産支援が期待できるという意見が得られた。結 論本研究は,助産師を対象とした親への移行期の夫婦関係支援に関する研修プログラムの活用の可能性を示すものである。eラーニング動画とアセスメントツールの活用に関する集合研修の組み合わせは,助産師の夫婦関係支援に対する理解と実践を高める可能性を示している。今後の研究では,この研修プログラムが助産師の実践や夫婦関係に与える影響を探る必要がある。
ISSN:0917-6357
1882-4307
DOI:10.3418/jjam.JJAM-2024-0058