2.口蓋裂の言語管理
口腔器官の先天的な奇形である口蓋裂は,哺乳障害,言語障害,聴覚障害,歯列や咬合の異常など複数の障害を派生する疾患である。従って,多くの関連する専門家によるチームアプローチが必要である。言語障害については,言語治療士による出生からの一貫した言語管理が必要である。 言語管理の内容は,両親に対する指導や助言,言語発達,声,構音,鼻咽膣閉鎖機能,聴覚の評価などである。これらの指導や評価を定期的に行うことによって,両親の精神の安定を図り,正常な言語環境のなかで口蓋裂児が育つようにする。言語発達に遅れがみられる場合には,その原因を確認し,医療,教育,療育の分野の専門家と連絡をとりながら,指導する。鼻咽腔閉...
Saved in:
Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 14; no. 2; pp. 217 - 222 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
1989
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.14.2_217 |
Cover
Summary: | 口腔器官の先天的な奇形である口蓋裂は,哺乳障害,言語障害,聴覚障害,歯列や咬合の異常など複数の障害を派生する疾患である。従って,多くの関連する専門家によるチームアプローチが必要である。言語障害については,言語治療士による出生からの一貫した言語管理が必要である。 言語管理の内容は,両親に対する指導や助言,言語発達,声,構音,鼻咽膣閉鎖機能,聴覚の評価などである。これらの指導や評価を定期的に行うことによって,両親の精神の安定を図り,正常な言語環境のなかで口蓋裂児が育つようにする。言語発達に遅れがみられる場合には,その原因を確認し,医療,教育,療育の分野の専門家と連絡をとりながら,指導する。鼻咽腔閉鎖機能不全が疑われる場合には,音声言語の評価に加えてその年齢で可能な検査を行って,術者に情報を提供する。それによって,術者は,再手術の適否,その時期を決定することができる。構音障害に対しては,訓練の適否,訓練開始年齢を決定し,訓練を行う。 言語管理の過程で,各領域の専門家との連携を密接にとる。特に,術者との連携が重要である。わが国においては,術前からの言語管理が十分に行われているとはいいがたい現況にあり,今後この面の充実が図られることを望んでいる。 |
---|---|
ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.14.2_217 |