3', 4'-Dideoxykanamycin B (DKB) の聴器毒性について

UMEZAWA, et al.(1967) は, R因子をもつているGram陰性菌 (大腸菌) による抗生物質の非活性化機構の1つが, 抗生物質Kanamycin (KM), Dihydrostreptomycin (DSM) のOH基のリン酸化にあることを初めて明らかにした。次いで, UMEZAWA, et al.(1971) は, 上記の耐性菌によつてリン酸化されるOH基を除去することによつて, 耐性菌に対して抗菌作用をもつ化合物を合成しうることを明らかにし, 3', 4'-Dideoxykanamycin B (DKB) の合成に成功した。 DKBは, 耐性菌および緑...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 27; no. 1; pp. 15 - 26
Main Authors 秋吉, 正豊, 佐藤, 喜一, 中田, 穂出美, 田島, たよ子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 1974
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Summary:UMEZAWA, et al.(1967) は, R因子をもつているGram陰性菌 (大腸菌) による抗生物質の非活性化機構の1つが, 抗生物質Kanamycin (KM), Dihydrostreptomycin (DSM) のOH基のリン酸化にあることを初めて明らかにした。次いで, UMEZAWA, et al.(1971) は, 上記の耐性菌によつてリン酸化されるOH基を除去することによつて, 耐性菌に対して抗菌作用をもつ化合物を合成しうることを明らかにし, 3', 4'-Dideoxykanamycin B (DKB) の合成に成功した。 DKBは, 耐性菌および緑膿菌に阻止作用をもち, 特に後者に対してはGentamicin (GM) よりも強い抗菌作用を示すこと, また他の菌種に対してもGMよりもやや弱いか, 同等の阻止作用をもつていることが明らかにされている。 今回われわれは, DKBの聴器毒性を実験動物で判定するにあたつて, 化学構造上同じようにアミノ配糖体抗生物質に属するKMおよびGMの聴器毒性を機能的ならびに病理形態的に比較検討することにした。機能検査用には今回初めて, 12,000Hz, 15,000Hz, 20,000Hzの高周波数の純音刺激による耳介反射試験をおこない, 高周波数音域から始まる聴覚障害を測定するよう努めた。また, 聴覚系および平衡感覚系の末梢部に抗生物質によつてひき起こされる感覚上皮細胞の障害像を観察比較するために, 内耳のセロイジン連続切片について病理組織学的観察をおこなつた。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.27.15