小学生に移植医療の教育は可能か~テキストマイニングを用いた小学生と中学生の比較検討

中学校では2019年度に道徳が教科化され,道徳の教科書7社で生命尊重の題材の1つとして移植医療が取り上げられている。一方,小学校では2018年度に道徳が教科化されたものの、2024年度発刊予定の6年生道徳の教科書6社において,生命尊重の題材はあるものの移植医療は取り上げられていないと考えられる。児童・生徒への移植医療教育の重要性は以前より認識されているが,秋田県では2015年度より「いのちを考える学習会」と題して県教育委員会から後援をいただき,児童・生徒への講演活動を行い,2023年度までに小学校では8校で講演を行った(全35校中)。小学生と中学生の違いを検討するにあたり,2023年度に同様の...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s317_1
Main Author 佐々木, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s317_1

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Summary:中学校では2019年度に道徳が教科化され,道徳の教科書7社で生命尊重の題材の1つとして移植医療が取り上げられている。一方,小学校では2018年度に道徳が教科化されたものの、2024年度発刊予定の6年生道徳の教科書6社において,生命尊重の題材はあるものの移植医療は取り上げられていないと考えられる。児童・生徒への移植医療教育の重要性は以前より認識されているが,秋田県では2015年度より「いのちを考える学習会」と題して県教育委員会から後援をいただき,児童・生徒への講演活動を行い,2023年度までに小学校では8校で講演を行った(全35校中)。小学生と中学生の違いを検討するにあたり,2023年度に同様の内容で講演を実施した小学6年生(64名)と中学3年生(95名)の感想文をテキストマイニングで抽出し比較した結果,単語頻出頻度では,「臓器移植」の割合が高いのが小学生、「臓器提供」の割合が高いのが中学生,共起語では,「臓器移植」からいのちと結びつけるのが小学生,「臓器移植」と「臓器提供」からいのちと結びつけるのが中学生であることが示唆された。小学校の道徳では,人間の死に関する内容も取り上げられており,移植医療は生と死の両面より生命尊重教育を行える観点から,小学生であっても移植医療の教育は伝え方を工夫すれば可能であると考えられる。テキストマイニングの結果と秋田県の講演方法について報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s317_1