動脈硬化性疾患予防ガイドラインからみる肝移植後長期経過症例の脂質代謝異常管理
【目的】肝移植後の長期生存症例は高齢化しており、脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化性疾患予防が重要である。本研究では、現状の問題点を明らかにするため、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」に準じ、当院における肝移植後長期生存症例の脂質代謝異常管理について再評価を行った。【方法】2004年1月以降に当院で肝移植術を受けた成人のうち、術後10年以上フォローアップが継続された76症例を対象とした。これら症例の術後10年時の高血圧、高脂血症、糖尿病の併存頻度の解析とともに、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年)」に基づき、動脈硬化性疾患リスクの層別化、脂質管理目標値達成度の評価を行った。【結果】対象症例...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s202_2 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s202_2 |
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Summary: | 【目的】肝移植後の長期生存症例は高齢化しており、脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化性疾患予防が重要である。本研究では、現状の問題点を明らかにするため、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」に準じ、当院における肝移植後長期生存症例の脂質代謝異常管理について再評価を行った。【方法】2004年1月以降に当院で肝移植術を受けた成人のうち、術後10年以上フォローアップが継続された76症例を対象とした。これら症例の術後10年時の高血圧、高脂血症、糖尿病の併存頻度の解析とともに、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年)」に基づき、動脈硬化性疾患リスクの層別化、脂質管理目標値達成度の評価を行った。【結果】対象症例の肝移植時背景肝疾患はHBV関連19例、HCV関連34例、nonBnonC関連23例であり、移植後10年時の年齢中央値は65歳(男性43例、女性33例)であった。高血圧、脂質代謝異常、糖尿病の併存頻度はそれぞれ42例(55.3%)、41例(53.9%)、32例(42.1%)で、いずれも移植前より増加していた。動脈硬化性疾患発症リスクの層別化では、48例(64.0%)が「高リスク」、5例(6.7%)が「二次予防」に該当していた。LDL-C管理目標値を達成していた症例は47例(61.6%)であった。【考察】肝移植後患者は併存疾患が増加し、多くが動脈硬化性疾患発症の高リスク群に相当する。一方で、移植後症例は一般集団と臨床背景が異なり、その管理については改めて議論が必要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s202_2 |