MMFによる薬剤性障害を呈したABO不適合腎移植の1例

症例は68歳女性(O型)。既往に関節リウマチがありステロイド、タクロリムス(FK)を服薬されていた。慢性腎炎に対する末期腎不全に対して66歳の夫(AB型)をドナーとした先行的腎移植を希望され当科外来を受診。抗A抗体価512倍、抗B抗体価16倍であった。術前減感作療法目的に服用中のFKに加えてミコフェノール酸モフェチル(MMF)の内服を開始したところ投与開始1週間後に発熱と全身関節痛が出現。各種ウイルス検査は陰性であり抗生剤を投与するが軽快せず、薬剤アレルギーを疑いMMFの投与を中止したところ数日で症状は軽快した。当初予定されていた手術は延期し、薬剤誘発性リンパ球刺激試験を施行したところMMF、...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s394_2
Main Authors 渕之上, 昌平, 小林, 肇, 添野, 真嗣, 久保, 隆史, 有吉, 勇一, 安藤, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s394_2

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Summary:症例は68歳女性(O型)。既往に関節リウマチがありステロイド、タクロリムス(FK)を服薬されていた。慢性腎炎に対する末期腎不全に対して66歳の夫(AB型)をドナーとした先行的腎移植を希望され当科外来を受診。抗A抗体価512倍、抗B抗体価16倍であった。術前減感作療法目的に服用中のFKに加えてミコフェノール酸モフェチル(MMF)の内服を開始したところ投与開始1週間後に発熱と全身関節痛が出現。各種ウイルス検査は陰性であり抗生剤を投与するが軽快せず、薬剤アレルギーを疑いMMFの投与を中止したところ数日で症状は軽快した。当初予定されていた手術は延期し、薬剤誘発性リンパ球刺激試験を施行したところMMF、ミゾリビンに対する反応が陽性であった。投与薬剤をアザチオプリン(AZ)に変更したところ薬剤に対する急性反応は認めず、減感作療法として継続した。移植前にリツキシマブを投与し二重膜ろ過血漿交換(DFPP)と単純血漿交換(PE)を行い抗体価の減少を確認して生体腎移植を実施した。手術は合併症なく終了し、周術期はAZによる肝障害を認めたが腎機能は安定して経過し、拒絶反応を示唆する所見は認めなかった。今回我々はAZを用いた代替レジメンを用いてABO不適合腎移植を実施し得た1例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s394_2