従来に比して高感度に腎移植ドナーの適応を判断しうるシスタチンCを用いた新規推算糸球体濾過量計算式の開発

【背景】生体腎移植において、ドナー腎機能評価は重要である。イヌリンクリアランス(Cin)は最も正確な糸球体濾過量(GFR)の評価方法であるが、負担が大きい。クレアチニンに比べシスタチンC(Cys-C)から推算された糸球体濾過量(CysC-eGFR)は正確とされているものの、CysC-eGFRで腎機能低下していると思われてもCin検査を行うとドナー適応が有ることにしばしば遭遇する。そのためより高感度な検査方法が求められている。【方法】移植前検査でCys-CとCinを測定したドナー候補者500名を用いて、Cys-Cを用いた新たな推算糸球体濾過量(New-CysC-eGFR)計算式を作成した。その後...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s328_3
Main Authors 余西, 洋明, 角田, 洋一, 野々村, 祝夫, 比嘉, 洋子, 堀尾, 勝, 猪阪, 善隆, 徳地, 真帆, 高橋, 篤史, 中澤, 成晃, 難波, 倫子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s328_3

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Summary:【背景】生体腎移植において、ドナー腎機能評価は重要である。イヌリンクリアランス(Cin)は最も正確な糸球体濾過量(GFR)の評価方法であるが、負担が大きい。クレアチニンに比べシスタチンC(Cys-C)から推算された糸球体濾過量(CysC-eGFR)は正確とされているものの、CysC-eGFRで腎機能低下していると思われてもCin検査を行うとドナー適応が有ることにしばしば遭遇する。そのためより高感度な検査方法が求められている。【方法】移植前検査でCys-CとCinを測定したドナー候補者500名を用いて、Cys-Cを用いた新たな推算糸球体濾過量(New-CysC-eGFR)計算式を作成した。その後、別のドナー候補者300名を用いて、従来のCysC-eGFRとNew-CysC-eGFRにより判断されるドナー適応がCin検査による適応と一致するかGFRのカットオフ値を70, 75, 80ml/minで検討した。【結果】GFRのカットオフ値を70, 75, 80ml/minとしたドナー適応は、従来のCysC-eGFRでは感度が81.9, 83.8, 87.5%である一方で New-CysC-eGFRを用いると95.2, 98.7, 99.6%と良好であった。【結語】New-CysC-eGFRはドナー適応を検討する際にきわめて高感度であり、余分なCin検査を減らせる可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s328_3