小児心臓移植後の中長期成績とレシピエントの社会参加の現状
(背景)わが国における小児心臓移植後の5年および10年生存率は約90%と比較的良好である。今回、当院での小児心臓移植後患者の社会参加の現状を明らかにし、当院での取り組みについて紹介する。(方法)2000年から2019年に18歳未満で心臓移植を行い当院で管理した患者の臨床情報および就業・就学の状況を後方視的に検討した。(結果)対象は61例で男29例、女32例。移植年齢中央値は7歳で移植後経過年数中央値は9年であった。経過中の死亡は7例で、5年、10年、15年生存率はそれぞれ91%、91%、83%であった。就学年齢に達せず死亡した3例を除く58例で、安定的な就学は56名(97%)で達成されていた。...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s140_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s140_1 |
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Summary: | (背景)わが国における小児心臓移植後の5年および10年生存率は約90%と比較的良好である。今回、当院での小児心臓移植後患者の社会参加の現状を明らかにし、当院での取り組みについて紹介する。(方法)2000年から2019年に18歳未満で心臓移植を行い当院で管理した患者の臨床情報および就業・就学の状況を後方視的に検討した。(結果)対象は61例で男29例、女32例。移植年齢中央値は7歳で移植後経過年数中央値は9年であった。経過中の死亡は7例で、5年、10年、15年生存率はそれぞれ91%、91%、83%であった。就学年齢に達せず死亡した3例を除く58例で、安定的な就学は56名(97%)で達成されていた。18歳以上に達した38名のうち15名(39%)が就業しており、13名(34%)が大学・専門学校に就学していた。未就学・未就業は10名 (26%)で、その理由としては、補助人工心臓に伴う脳血管障害2名、移植後合併症が8名であった。(考察)小児心臓移植後患者の多くは就業・就学ができていたが、それを妨げる因子として、脳血管障害等の移植前合併症や、様々な移植後合併症が考えられた。近年の医療的ケア児に対する学校支援の充実により、合併症のある症例でも安定的な通学が可能で、加えて医療者と学校教員の緊密な連携がそれを手助けするものと考えられた。一方で、合併症を有する症例の就職についてはハードルがあり、障害者雇用全般の推進も重要と考えられる。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s140_1 |