モンゴルにおける口唇・口蓋裂の有病率

中央アジアの国の一つであるモンゴル国では,口腔顔面裂の有病率に関する研究はこれまでにほとんどされてこなかった.そこで,モンゴル国における口唇・口蓋裂児の有病率を推定するため,可能な限りの記録を収集し,回顧的調査を実施した.モンゴル国での口唇・口蓋裂の有病率に関し,モンゴル国外に向けて報告された研究はこれまでに無く,この研究が初めてのものである. この調査では,1997年から2001年までの5年間に生まれた口唇・口蓋裂症例を対象とした.出生児における有病率は,ウランバートル市のモンゴル国立母子病院における,24,970名の出生児の記録を基に算出した.その結果24,970名中19名に口唇・口蓋裂が...

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Published in日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 31; no. 3; pp. 267 - 273
Main Authors 松澤, 哲子, 鈴木, 聡, 大林, 修文, 上谷, 美幸, 古川, 博雄, 夏目, 長門, 吉田, 和加
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口蓋裂学会 2006
Subjects
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ISSN0386-5185
2186-5701
DOI10.11224/cleftpalate1976.31.3_267

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Summary:中央アジアの国の一つであるモンゴル国では,口腔顔面裂の有病率に関する研究はこれまでにほとんどされてこなかった.そこで,モンゴル国における口唇・口蓋裂児の有病率を推定するため,可能な限りの記録を収集し,回顧的調査を実施した.モンゴル国での口唇・口蓋裂の有病率に関し,モンゴル国外に向けて報告された研究はこれまでに無く,この研究が初めてのものである. この調査では,1997年から2001年までの5年間に生まれた口唇・口蓋裂症例を対象とした.出生児における有病率は,ウランバートル市のモンゴル国立母子病院における,24,970名の出生児の記録を基に算出した.その結果24,970名中19名に口唇・口蓋裂が確認され,1,000名に0.76名,1314名に一人の割合であり,モンゴル国の本症有病率は,低いことが推定された. 今回の報告は,今後モンゴル国の疫学研究を発展させていくための予備的なものであり,この国における疫学研究の現状についても述べた.モンゴル国の社会経済状況は,本症の大規模調査が行われている他の国々の状況と異なっており,本研究ではこれらの問題も考慮しながら本症の有病率について検討を行った.本研究の結果モンゴル国における本症の有病率が低いとの仮説を立てることが可能であったが,今後これを実証する最新の数値を確認するため,他の出産施設のデータを含む前向き調査(プロスペクティブ・スタディ)の必要性が示された.
ISSN:0386-5185
2186-5701
DOI:10.11224/cleftpalate1976.31.3_267