RNA velocity-CellRank解析による末梢血B細胞終端状態を示す遺伝子解析

【背景】B細胞は、多機能性を発揮する免疫細胞である。臓器移植では移植片に対する抗体産生はもちろんのこと、B細胞の抗原提示能を通じたT細胞の活性化が、移植片の拒絶や長期的な生着の障害となる。本研究では、B細胞のシングルセル解析データを用いて、末梢血B細胞のより精密な機能解析と遺伝子の同定を行った。【方法】3人の健常人よりB細胞を精製し、single cell RNA-seqを行った。RNA velocityを利用した細胞状態遷移モデリングによるterminal推定を行い、終端状態を決定した。臓器移植後の患者よりde novo DSAが生じたレシピエントのPBMCを用いて、NGSを行った。RNA-...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s310_2
Main Authors 石山, 宏平, 岩崎, 研太, 小林, 孝彰, 雫, 真人, 河田, 賢, 三輪, 祐子, 安次嶺, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s310_2

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Summary:【背景】B細胞は、多機能性を発揮する免疫細胞である。臓器移植では移植片に対する抗体産生はもちろんのこと、B細胞の抗原提示能を通じたT細胞の活性化が、移植片の拒絶や長期的な生着の障害となる。本研究では、B細胞のシングルセル解析データを用いて、末梢血B細胞のより精密な機能解析と遺伝子の同定を行った。【方法】3人の健常人よりB細胞を精製し、single cell RNA-seqを行った。RNA velocityを利用した細胞状態遷移モデリングによるterminal推定を行い、終端状態を決定した。臓器移植後の患者よりde novo DSAが生じたレシピエントのPBMCを用いて、NGSを行った。RNA-seq解析にはR・iDEP96を用いた。【結果】Terminal推定されたいくつかのsmall populationでIg遺伝子が高発現しており、それぞれのクラスターのドライバー遺伝子を同定できた。IgG遺伝子がより高発現しているクラスターにおいて、miR155といったde novo DSAと相関する遺伝子が高発現していた。またCLIPなど新規遺伝子が、このクラスターでは高発現しており、Bulk RNA-seqの結果から、de novo DSAの誘導とともに発現が誘導されていた。【考察】B細胞は特定の抗原に対する持続的な免疫記憶を形成する役割を担っている。一連のsingle cell RNA 解析は、より精緻なB細胞機能解析を可能にし、bulk RNA-seqとの組み合わせにより、de novo DSA産生のマーカー検索に有用である可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s310_2