当院における臨床工学技士としての移植への携わり

[背景]当院では臨床工学技士が院内移植コーディネーターを務め、臓器移植に対して積極的に関わっている。今回、臨床工学技士の立場での周術期管理の経験を報告する。[経過]妊娠中40代女性、心停止で来院され妊娠後の体動困難が誘因の肺塞栓症による低酸素脳症が原因と考えられた。家族へのケアを含む集中治療を進めていたが、入院3日後に胎児流産を確認した。神経学的予後判定のタイミングで家族への説明を行い臓器提供となった。臓器提供へ向けた多職種カンファレンスにて無気肺予防を目的に腹臥位が検討されたが顔や身体の褥瘡の懸念があり側臥位までの方針となったため人工呼吸器設定を肺保護目的にHighPEEP管理とし可能な限り...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s316_2
Main Authors 岡本, 翔, 清田, 将義, 三橋, 祥二, 桝井, 良裕, 小林, 俊也, 佐藤, 綾子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s316_2

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Summary:[背景]当院では臨床工学技士が院内移植コーディネーターを務め、臓器移植に対して積極的に関わっている。今回、臨床工学技士の立場での周術期管理の経験を報告する。[経過]妊娠中40代女性、心停止で来院され妊娠後の体動困難が誘因の肺塞栓症による低酸素脳症が原因と考えられた。家族へのケアを含む集中治療を進めていたが、入院3日後に胎児流産を確認した。神経学的予後判定のタイミングで家族への説明を行い臓器提供となった。臓器提供へ向けた多職種カンファレンスにて無気肺予防を目的に腹臥位が検討されたが顔や身体の褥瘡の懸念があり側臥位までの方針となったため人工呼吸器設定を肺保護目的にHighPEEP管理とし可能な限りの臓器保護に努めた。また腎保護と胸水減少を目的とした腎代替療法を開始した。出血や塞栓症を考慮し抗凝固薬はカンファレンスにて調整を行った。入院13日目に法的脳死判定となり脳波測定と並行し、臨床工学技士がABRを2度にわたり測定した。その際、精度向上のため電極への工夫やノイズ源の除去に努めた。摘出当日はタイムテーブルに従い人工呼吸器管理や生体情報モニタの整備など環境整備に努め、滞りなく臓器摘出は終了に至った。[まとめ]本症例を経験し、臨床工学技士の役割とされる医療機器の安全管理に加え、多職種連携を密に行い円滑な周術期管理を支援することができた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s316_2