生体肝移植後に動脈塞栓術用コイルが胆管空腸吻合部に迷入した1例

【はじめに】胆汁漏や胆管損傷後の仮性動脈瘤や動脈性出血の止血に用いたコイルが、稀に胆管に迷入して胆管炎、閉塞性黄疸、胆石の原因となる。今回、生体肝移植後に胆道系にコイルが迷入した症例を報告する。【症例】26歳、女性。急性肝不全昏睡型に対して、姉をドナーとする肝右葉グラフトを用いた生体肝移植を行った。移植肝の胆管後枝が左肝管より分岐し、胆管前枝および後枝の2か所の胆管空腸吻合を行った。術後に胆汁漏を認め、ドレナージ管理を行った。移植後28日に腹腔内出血を認め、血管造影検査で肝動脈A7根部から造影剤の漏出を認めた。前区域枝からA7末梢が造影されることを確認し、コイルを用いてA7根部の動脈塞栓術を行...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s367_3
Main Authors 西田, 直仁, 加藤, 一希, 中沼, 伸一, 林, 泰寛, 所, 智和, 関, 晃裕, 加藤, 嘉一郎, 八木, 真太郎, 牧野, 勇, 荒木, 崇博, 武居, 亮平, 林, 智之, 岡崎, 充善, 高田, 智司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s367_3

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Summary:【はじめに】胆汁漏や胆管損傷後の仮性動脈瘤や動脈性出血の止血に用いたコイルが、稀に胆管に迷入して胆管炎、閉塞性黄疸、胆石の原因となる。今回、生体肝移植後に胆道系にコイルが迷入した症例を報告する。【症例】26歳、女性。急性肝不全昏睡型に対して、姉をドナーとする肝右葉グラフトを用いた生体肝移植を行った。移植肝の胆管後枝が左肝管より分岐し、胆管前枝および後枝の2か所の胆管空腸吻合を行った。術後に胆汁漏を認め、ドレナージ管理を行った。移植後28日に腹腔内出血を認め、血管造影検査で肝動脈A7根部から造影剤の漏出を認めた。前区域枝からA7末梢が造影されることを確認し、コイルを用いてA7根部の動脈塞栓術を行った。胆汁漏は改善したが、移植1年5か月後にMRCPで胆管空腸吻合部狭窄を認めた。胆管炎による3回の入院加療を認めたことよりバルーン拡張術を予定した。移植2年1か月後、小腸ダブルバルーン内視鏡(DBE)を行ったところ、胆管空腸吻合部にコイルの迷入を認め、胆管炎の原因と判断した。出血に備えてIVRをスタンバイし、把持鉗子で視認されたコイルの大部分を摘出した。再び胆管炎を認め、再度DBEを行った。再びコイルの迷入を認め、視認されたすべてのコイルを摘出した。現在、胆管炎を認めず経過は良好である。【まとめ】生体肝移植後に動脈塞栓術用コイルが胆管空腸吻合部に迷入したがDBEにて摘出し得た。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s367_3