バーチャルクロスマッチとフィジカルクロスマッチの結果の乖離と腎移植成績への影響

【背景・目的】クロスマッチ検査は臓器移植において術前に免疫学的リスクを決める重要な検査である。CDCクロスマッチ(CDCXM)やフローサイトメトリークロスマッチ(FCXM)のようなフィジカルクロスマッチ(PXM)は、レシピエントとドナー両方の血液が必要である。一方、バーチャルクロスマッチ(VXM)は、直接ドナー・レシピエントの血液を反応させる必要はないが、ビーズへの非特異反応の問題や判定基準が確立されていないなどの課題が残る。【対象・方法】本研究では2020年5月から2023年9月まで生体腎腎移植を行なった93例を対象として、VXMとPXMの結果を比較し、移植後成績との関連を解析し、VXMがP...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s311_3
Main Authors 石川, 暢夫, 岩見, 大基, 南園, 京子, 中尾, 俊雅, 大山, 雄大, 西田, 翔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s311_3

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Summary:【背景・目的】クロスマッチ検査は臓器移植において術前に免疫学的リスクを決める重要な検査である。CDCクロスマッチ(CDCXM)やフローサイトメトリークロスマッチ(FCXM)のようなフィジカルクロスマッチ(PXM)は、レシピエントとドナー両方の血液が必要である。一方、バーチャルクロスマッチ(VXM)は、直接ドナー・レシピエントの血液を反応させる必要はないが、ビーズへの非特異反応の問題や判定基準が確立されていないなどの課題が残る。【対象・方法】本研究では2020年5月から2023年9月まで生体腎腎移植を行なった93例を対象として、VXMとPXMの結果を比較し、移植後成績との関連を解析し、VXMがPXMの代替となるかを検討する。【結果】VXMとCDCXMでは71例(76%)が一致し、22例(24%)が不一致であった。また、VXMとFCXMでは89例(96%)が一致し、4例(4%)が不一致であった。不一致例の中でもVXM陰性かつPXM陽性の症例は非HLA抗体による非特異反応であると判断し、脱感作療法は行わなかった。VXM陽性かつPXM陰性の症例は検査の感度差の影響と推測し、脱感作療法のうえ腎移植を施行した。いずれも拒絶反応の発症なく経過している。【考察】PXMの中でもFCXMはVXMの結果との一致率も高かった。しかし、VXMがPXMの代替となるかについては今後広くデータを蓄積し、不一致症例のより深い解析やその解釈と対処法について十分なエビデンスを積み重ねる必要がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s311_3