無定形高分子のクリープ回復における体積変化の影響

ゴム状態でのクリープ回復に非平衡の熱力学を適用し, 伸長による体積変化を考慮して, 遅延時間が伸長比λと温度Tに依存する非線型なクリープ回復曲線が導かれた。温度換算因子aTおよびひずみ換算因子aλが導かれ, ゴム状態では, 換算因子が互いに独立になることが示された。いくつかの伸長比で, ブチルゴムのクリープ回復の等温曲線をガラス-ゴム転移域 (-60℃--40℃) で求め, それらを対数時間軸に沿って平行移動すると合成曲線を得ることができる。伸長比が大きくなると, 合成曲線は低温側へずれる。実測のaTの温度依存性は同一のWLF式によく従っており, ひずみによる影響を受けないという結果が得られた...

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Published in高分子化學 Vol. 29; no. 325; pp. 341 - 345
Main Authors 溝口, 徹也, 石鍋, 孝夫, 石川, 欣造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 1972
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Summary:ゴム状態でのクリープ回復に非平衡の熱力学を適用し, 伸長による体積変化を考慮して, 遅延時間が伸長比λと温度Tに依存する非線型なクリープ回復曲線が導かれた。温度換算因子aTおよびひずみ換算因子aλが導かれ, ゴム状態では, 換算因子が互いに独立になることが示された。いくつかの伸長比で, ブチルゴムのクリープ回復の等温曲線をガラス-ゴム転移域 (-60℃--40℃) で求め, それらを対数時間軸に沿って平行移動すると合成曲線を得ることができる。伸長比が大きくなると, 合成曲線は低温側へずれる。実測のaTの温度依存性は同一のWLF式によく従っており, ひずみによる影響を受けないという結果が得られた。
ISSN:0023-2556
1884-8079
DOI:10.1295/koron1944.29.341