栃木県八溝山地域における足くくりわなで捕獲されたイノシシ(Sus scrofa)の性比および齢構成
イノシシ(Sus scrofa)は国内に生息する哺乳類の中でも特に捕獲頭数が多く,近年では足くくりわなによる捕獲が増加している.しかし,同手法により捕獲される個体の性比・齢構成については詳細な把握が行われていない.そこで本研究では,それらの把握を長期にわたって行い,その捕獲特性を明らかにすることを目的とした.調査は栃木県那珂川町の食肉加工施設に搬入された試料を用いた.試料の性比はオス:メスで1.37:1であった.また齢構成については,雌雄共に0歳齢群の頭数が少なかった.オスは83.9%が2歳齢未満であったのに対し,メスは2歳齢以上の試料が37.2%とオスに比べ多かった.本試料から算出した捕獲確...
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Published in | 哺乳類科学 Vol. 62; no. 1; pp. 39 - 44 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本哺乳類学会
2022
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Subjects | |
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Summary: | イノシシ(Sus scrofa)は国内に生息する哺乳類の中でも特に捕獲頭数が多く,近年では足くくりわなによる捕獲が増加している.しかし,同手法により捕獲される個体の性比・齢構成については詳細な把握が行われていない.そこで本研究では,それらの把握を長期にわたって行い,その捕獲特性を明らかにすることを目的とした.調査は栃木県那珂川町の食肉加工施設に搬入された試料を用いた.試料の性比はオス:メスで1.37:1であった.また齢構成については,雌雄共に0歳齢群の頭数が少なかった.オスは83.9%が2歳齢未満であったのに対し,メスは2歳齢以上の試料が37.2%とオスに比べ多かった.本試料から算出した捕獲確率が最大となる年齢は,オスで1.4歳,メスで2.1歳と推定された.イノシシのメスは生後1年未満で性成熟に達し繁殖可能となるため,足くくりわなで継続的にメスの亜成獣群以上を捕獲することは,本種の個体群抑制に有効であると言えるだろう. |
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ISSN: | 0385-437X 1881-526X |
DOI: | 10.11238/mammalianscience.62.39 |