HLA-DRに提示されるSLA抗原由来エピトープの同定

【目的】異種移植において標的となりうるSLA抗原由来のT細胞epitopeは明確ではなく、その重要性は未知数である。本研究では、ヒト抗原提示細胞に提示されるSLA由来ペプチドの同定を行った。【方法】ヒト末梢血CD14+ monocyteを、放射線照射したporcine liver-derived endothelial cell triple-gene knockout (GGTA1/CMAH/β4galNT2)とともにIL-4/GM-CSFで4日間、IL-1β/TGFαで2日間培養し抗原提示細胞とした。細胞を破砕しanti-HLA-class II DR 抗体で免疫沈降後、peptideを抽...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s299_2
Main Authors 石山, 宏平, 小林, 孝彰, 岩崎, 研太, 河田, 賢, 雫, 真人, 高村, 祥子, 伴野, 勤, 安次嶺, 聡, 三輪, 祐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s299_2

Cover

More Information
Summary:【目的】異種移植において標的となりうるSLA抗原由来のT細胞epitopeは明確ではなく、その重要性は未知数である。本研究では、ヒト抗原提示細胞に提示されるSLA由来ペプチドの同定を行った。【方法】ヒト末梢血CD14+ monocyteを、放射線照射したporcine liver-derived endothelial cell triple-gene knockout (GGTA1/CMAH/β4galNT2)とともにIL-4/GM-CSFで4日間、IL-1β/TGFαで2日間培養し抗原提示細胞とした。細胞を破砕しanti-HLA-class II DR 抗体で免疫沈降後、peptideを抽出し、nanoLC-qTOF/MS/MSで測定した。peptide情報から得られるたんぱく質同定にはDIA-NNを使用した。【結果】いくつかの異種抗原とともに、SLA-class I/-class II由来のpeptideが同定できた。健常人4人の検体を用いたところ、全てに共通のSLA由来のエピトープが検出できた。【結論】Donor specific HLA antibody (DSA)の一部はSLAに対しても交差反応を示すなど異種移植でもハイリスクとなるといわれている。異種移植における患者選別には明確な指標はない。アロ移植においてはnon-DSAであっても共通T細胞epitopeの存在が移植後のde novo DSA産生との相関が確認されるなど、T細胞epitopeの重要性については報告がある。本研究ではSLA由来peptide候補を検出し、さらに複数の検体に共通して同定された。今後は同定されたpeptideの重要性とその反応性について、合成ペプチドおよび細胞を用いて検討を重ねる必要がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s299_2