再肺移植後急性期に膵頭部癌による出血性膵炎を繰り返したNightmare case
背景:ドナー不足が深刻な日本では、左右の肺を片肺ずつ異時的に移植する二期的肺移植を受ける患者が増加しているが、初回術後に免疫抑制剤治療が導入されるため、肺移植待機中に発がんリスクが高まる状況にある。今回、二期的肺移植後急性期に原因不明の出血性膵炎を繰り返し、後に膵頭部癌による閉塞性重症膵炎と判明した症例を報告する。症例:57歳男性。特発性間質性肺炎肺炎のため、3年前に脳死右片肺移植を行い、2年後に慢性拒絶反応を発症したため、再移植登録の上、今回脳死左片肺移植を行った。術後10日目に腹痛と膵酵素上昇を認め、薬剤性膵炎を疑い、タクロリムスを含めた使用中薬剤の変更を行ったが再燃し、造影CTにて血管外...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s255_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s255_1 |
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Summary: | 背景:ドナー不足が深刻な日本では、左右の肺を片肺ずつ異時的に移植する二期的肺移植を受ける患者が増加しているが、初回術後に免疫抑制剤治療が導入されるため、肺移植待機中に発がんリスクが高まる状況にある。今回、二期的肺移植後急性期に原因不明の出血性膵炎を繰り返し、後に膵頭部癌による閉塞性重症膵炎と判明した症例を報告する。症例:57歳男性。特発性間質性肺炎肺炎のため、3年前に脳死右片肺移植を行い、2年後に慢性拒絶反応を発症したため、再移植登録の上、今回脳死左片肺移植を行った。術後10日目に腹痛と膵酵素上昇を認め、薬剤性膵炎を疑い、タクロリムスを含めた使用中薬剤の変更を行ったが再燃し、造影CTにて血管外漏出を伴う出血性膵炎を認めた。貧血の進行があり、緊急血管内治療を行ったが、出血源の同定には至らず、当初は内視鏡検査でも明らかな腫瘍性病変が確認できなかった。その後も出血を繰り返し、止血のため複数回の血管内治療を要した。5度目の膵炎再燃時の造影CTと内視鏡検査にて、膵頭部癌に伴う閉塞性膵炎の診断となった。膵管ステント留置を行い症状改善し、術後4ヶ月で自宅退院となった。のちに化学放射線療法が行われたが、薬剤の副作用のため治療は中止され、術後1年で永眠された。結語:長期間の免疫抑制療法下にある二期的肺移植症例では、術後急性期合併症においても悪性腫瘍を念頭に置いた精査加療が検討される。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s255_1 |