腎性貧血に対するHIF-PH阻害薬投与適正管理法

低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬は低酸素応答機能がエリスロポエチン産生を調節することを利用した新しい機序の腎性貧血治療薬である。2019年12月に上市され、現在本邦では5種類を使用できる。我々は、発売当初よりこの薬剤を腎性貧血に対して使用してきた。添付文書には用法・用量の規定があり、開始後少なくとも4週間は同一用量を維持することとあるが、臨床的には血栓塞栓症は急激に血液が粘稠になることでも惹起されうるものであり、リスクが高まると言わざるを得ない。日本腎臓学会から「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation(2020.9.29)」が発出されている。これ...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s389_2
Main Authors 大塚, 聡樹, 長坂, 隆治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s389_2

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Summary:低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬は低酸素応答機能がエリスロポエチン産生を調節することを利用した新しい機序の腎性貧血治療薬である。2019年12月に上市され、現在本邦では5種類を使用できる。我々は、発売当初よりこの薬剤を腎性貧血に対して使用してきた。添付文書には用法・用量の規定があり、開始後少なくとも4週間は同一用量を維持することとあるが、臨床的には血栓塞栓症は急激に血液が粘稠になることでも惹起されうるものであり、リスクが高まると言わざるを得ない。日本腎臓学会から「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation(2020.9.29)」が発出されている。これにはヘモグロビ値(Hb)の上昇速度が0.5g/dL/週を上回らないようにとある。我々はより迅速な管理を必要とする知見を得て、用量減量の調整法を創出した。このことに至った症例を供覧し、新たな調整法について発表いたします。【対象】移植後 透析の外来及び入院の計36名で、男性22名。服薬は個々の薬剤の用法・用量に従った。【結果】3例で4週間以内にHb濃度が2.0g/dLを超えた。減量、中止で対処したが安定期に誘導するには、増減を繰り返して時間を要した。これを回避するために、Hb濃度の日毎の増加率を求め、基準値を超えた際には速やかに用量の減量をする調整法を創出した。これにより、急激な赤血球増多を回避でき、血栓塞栓症や心血管系障害及び脳卒中の発現が抑制されると考える。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s389_2