ADSCから分化したSchwann cell-like cellが神経修復へ与える影響
背景:我々は、ヒト脂肪由来幹細胞(ADSC)から効果的にシュワン細胞様細胞(SLC)を分化誘導するプロトコルを確立し、坐骨神経損傷モデルマウスにSLCを移植すると、坐骨神経修復とその機能が有意に改善することを報告した (Cell Transplant. 2022)。 最終的に骨盤手術後の末梢神経損傷の回復にSLCを応用するために、in vitroでの癌に対するSLCの影響と骨盤神経損傷ラットモデルに対するSLCの有効性を検討した。方法:ヒト ADSC からSLCを作成した。次に、神経障害を誘発するsemaphorinの存在・非存在下で SLC を市販の神経細胞 (cNC) と共培養し、cNCの...
Saved in:
Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s376_2 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s376_2 |
Cover
Loading…
Summary: | 背景:我々は、ヒト脂肪由来幹細胞(ADSC)から効果的にシュワン細胞様細胞(SLC)を分化誘導するプロトコルを確立し、坐骨神経損傷モデルマウスにSLCを移植すると、坐骨神経修復とその機能が有意に改善することを報告した (Cell Transplant. 2022)。 最終的に骨盤手術後の末梢神経損傷の回復にSLCを応用するために、in vitroでの癌に対するSLCの影響と骨盤神経損傷ラットモデルに対するSLCの有効性を検討した。方法:ヒト ADSC からSLCを作成した。次に、神経障害を誘発するsemaphorinの存在・非存在下で SLC を市販の神経細胞 (cNC) と共培養し、cNCの軸索伸長を蛍光免疫染色で評価した。さらに、結腸癌細胞をSLCと共培養し、癌細胞の増殖能を評価した。in vivoでは、神経原性排尿障害を誘発するためにSCIDラットで両側骨盤神経切断 (BPNC) を実行し、5×106 個のヒトSLC (hSLC)を神経切断部位に移植し、膀胱内圧測定および組織学的検討を行った。 結果: SLC は、sham群と比較し、semaphorinの有無によらず、cNCの軸索伸長が有意に増加した (p<0.05)。結腸癌細胞株とSLCの共培養では、増殖能に有意差は認めなかった。SLC移植モデルラットでは、BPNC 群では術後14日目に最大膀胱内圧が大幅に低下していたが、BPNC+hSLC 群では14日目にsham群と同程度まで最大膀胱内圧の改善を認めた。 結論: hSLC 移植は、直腸癌手術による骨盤神経損傷に対して安全かつ効果的である可能性がある。 |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s376_2 |