Toronto General Hospitalでの肝機械灌流の研究および臨床経験に基づいた本邦におけるシステム構築

本邦における圧倒的な肝臓ドナー不足の解決策の一つとして脂肪肝ドナー, 高齢ドナーおよび心停止後ドナーなどの境界臓器(extended criteria donor)を安全に利用することが重要であることは自明だが, その利用には機械灌流保存技術は不可欠である. 欧米から約10年臨床実装が遅れている本邦で、本技術をいかに効率的に導入し日常診療として確立するか喫緊の課題である. 今回, 北米最大の移植施設で初めて肝機械灌流保存を実践し, 肺肝腎の臨床応用に成功しているToronto General Hospitalでの大動物モデルを用いた研究および北米最多の臨床例で臓器摘出から肝機械灌流とその移植に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s150_1
Main Authors 櫻井, 悠人, 蛭川, 和也, 後藤, 徹, Markus, Selzner, 菅原, 寧彦, Blayne, Sayed, 本田, 正樹, 磯野, 香織, 冨田, 真裕, Trevor, Reichman, 日比, 泰造, Pablo, Achurra
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s150_1

Cover

More Information
Summary:本邦における圧倒的な肝臓ドナー不足の解決策の一つとして脂肪肝ドナー, 高齢ドナーおよび心停止後ドナーなどの境界臓器(extended criteria donor)を安全に利用することが重要であることは自明だが, その利用には機械灌流保存技術は不可欠である. 欧米から約10年臨床実装が遅れている本邦で、本技術をいかに効率的に導入し日常診療として確立するか喫緊の課題である. 今回, 北米最大の移植施設で初めて肝機械灌流保存を実践し, 肺肝腎の臨床応用に成功しているToronto General Hospitalでの大動物モデルを用いた研究および北米最多の臨床例で臓器摘出から肝機械灌流とその移植に関わった経験と、国際肝移植学会(ILTS)で2回にわたりインストラクターとして機械灌流のデモンストレーションを担当した立場から, 実際の恒温灌流の注意点と管理方法を提示する. 恒温灌流の最大のメリットは代謝の維持であるが、些細な管理トラブルであってもグラフト肝の温阻血へと直結し境界臓器が使用不可となる危険性を孕む. 機械灌流導入には死体ドナーからの全肝摘出の経験豊富かつ実際に灌流保存に携わった外科医で構成された学会主導の摘出/灌流チームの編成とマニュアル化が必須である。欧米で機械灌流を導入した各国の報告に基づき, 本邦でのシステム構築を議論する.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s150_1