切除不能大腸癌肝転移に対するconversion療法と肝移植の比較検討
背景・目的:切除不能大腸癌肝転移(CRLM)に対して肝移植が普及しつつある一方、日本ではCRLMに対してconversion療法も含めて積極的に肝切除を施行する施設も多い。肝移植は切除不能の場合にのみしか施行されないため、同程度に進行した症例について肝切除と肝移植の治療効果を比較することは困難であるが、進行度が同程度である切除不能CRLMにおいて、肝切除と肝移植の治療成績を比較することを試みる。方法:FOLFOXが承認された2009年から2018年の間、京都大学にて施行されたconversion手術25例について検討した。肝移植後の予後を層別化するOslo score、およびCRLMの治療予後...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s270_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.Supplement_s270_2 |
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Summary: | 背景・目的:切除不能大腸癌肝転移(CRLM)に対して肝移植が普及しつつある一方、日本ではCRLMに対してconversion療法も含めて積極的に肝切除を施行する施設も多い。肝移植は切除不能の場合にのみしか施行されないため、同程度に進行した症例について肝切除と肝移植の治療効果を比較することは困難であるが、進行度が同程度である切除不能CRLMにおいて、肝切除と肝移植の治療成績を比較することを試みる。方法:FOLFOXが承認された2009年から2018年の間、京都大学にて施行されたconversion手術25例について検討した。肝移植後の予後を層別化するOslo score、およびCRLMの治療予後を層別化するFONG scoreを用いて、当院のconversion症例と海外の肝移植報告とを比較した。結果:Oslo score 0-1,2,3-4点の症例数はそれぞれn=15,7,3であり、5年生存率は53.3%、85.6%、33.3%であった。CRLMに対する肝移植(SECA-I study)の長期フォロー報告では、それぞれ約75%、約50%、約10%であった。また、FONG scoreによる層別化では、5年生存率が0-1点(n=2)では50%、2-3点(n=23)では74.0%で、肝移植の既報では100%、約40%であった。結語:nが少なく、既報との直接の比較は困難とはいえ、同じスコアで比較した場合、conversion手術が肝移植より予後が良好である可能性がある。一方でconversion手術も施行できない場合は肝移植が有効な治療手段となることが期待される。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.Supplement_s270_2 |