High MELDスコア患者に対する生体肝移植は正当化されうるか?

【目的】 High MELD患者に対する生体肝移植の適応限界に関しては議論の余地がある。今回High MELD患者に対する生体肝移植の妥当性について検討することを目的とした。【方法】 1997年5月から2022年12月までの成人生体肝移植783症例を対象。レシピエントはL群(MELD<25, n=685)、M群(25<=MELD<30, n=51)、H群(MELD>=30, n=47)の3群に分類、移植時期を前期(-2009年)、後期(2010年-)に分類し比較検討。【結果】グラフトタイプ(左葉/右葉/それ以外,%)は3群間で有意差は認めず、GV/SLV(%)や手術時間、出血量についても各群で...

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Published in移植 Vol. 59; no. Supplement; p. s199_2
Main Authors 別城, 悠樹, 筒井, 由梨子, 吉住, 朋晴, 伊藤, 心二, 伊勢田, 憲史, 利田, 賢哉, 戸島, 剛男, 吉屋, 匠平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.Supplement_s199_2

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Summary:【目的】 High MELD患者に対する生体肝移植の適応限界に関しては議論の余地がある。今回High MELD患者に対する生体肝移植の妥当性について検討することを目的とした。【方法】 1997年5月から2022年12月までの成人生体肝移植783症例を対象。レシピエントはL群(MELD<25, n=685)、M群(25<=MELD<30, n=51)、H群(MELD>=30, n=47)の3群に分類、移植時期を前期(-2009年)、後期(2010年-)に分類し比較検討。【結果】グラフトタイプ(左葉/右葉/それ以外,%)は3群間で有意差は認めず、GV/SLV(%)や手術時間、出血量についても各群で有意差を認めなかった。GradeB以上の過小グラフト症候群(19.3%/36.2%/45.1%,p<0.01)はH群で有意に高頻度に認めたが、敗血症の頻度や1年/5年グラフト生存率はL群(88.9/80.1%)、M群(90.2/86.0%)、H群(76.6/73.9%)と有意差を認めなかった。グラフトタイプによる1年生存率は、L群とM群で有意差は認めなかったが、H群において左葉グラフトは右葉に比べて有意に低値であった(61.9% vs. 94.1%,P<0.05)。また全群において時代後期に1年グラフト生存率の改善を認めたが、特にH群(66.7% vs. 82.8%, P<0.05)で顕著であった。【まとめ】High MELD患者に対する生体肝移植の術後成績は、時代変遷とともに著明に改善しており正当化されうるが、十分なグラフト重量が確保可能な右葉グラフトを選択すべきと考えられた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.Supplement_s199_2